第41話 今ならば推測する事ができます
「まぁ、アーシャがいるとは言っても俺の奴隷の訳で、見方を変えれば俺とその奴隷と一緒に人気の無い場所へ行くのは気が引けるか……とくに女性であるオリヴィアからすれば特にそうか……。そこまで配慮ができず、自分目線で話してしまってすまんな」
流石にいままで俺がオリヴィアにしてきた行為は、オリヴィアから勝手に婚約破棄をされた事と金貨を返して貰っていない事と合わせて謝罪する必要は無いとは思っているのだが、今現在のオリヴィアの立場は『事業を任せている者の娘』という立場であり、無下にする事もできず、とりあえず不快にした可能性があるのであれば謝罪した方が良いと思った俺は形だけの謝罪をする。
別にオリヴィアに嫌われたからと言って事業には目立った支障は出ないだろうが、これから一緒に事業を進めて行くオリヴィアの父親とはいい関係で事業を進めて行く為にも娘の機嫌取りは最低限必要だろう。
ギスギスした雰囲気でシュバルツさんと長時間過ごすのは、想像しただけで精神的にキツイものがある。
俺の体感上『業務内容や契約内容』が劣悪であっても『人間関係』が良好であればまだ耐えられるのだが、逆に『業務内容や契約内容』が良くても『人間関係』が劣悪であれば耐えられないと思える為、これから一緒に事業を拡大していく仕事仲間であるシュバルツさんとの関係は、できる限り良好でありたいものだと思う。
その為であればオリヴィアに対していつも以上に気にかけてやるくらい大したものではないだろうし、それでシュバルツさんとの関係が良好であれば率先してやろう。
にも拘わらずオリヴィアの表情は少しだけ不満げというか、悲しそうな表情を一瞬だけするではないか。
え? もしかしてオリヴィアは俺に対して以前のような態度を求めているというのか?
とも一瞬だけ思ったのだが、恐らくオリヴィアを通してその後ろにいる自分の父親の事しか見ていない事に感づいたのだろう。
というかあれ程酷い事をされているにも関わらず俺の目にオリヴィアの姿が映っていないと気付いて軽くショックを受けるというのも『それはそれでやはりМ気質なのだろうか?』とも思ってしまう。
「お父様から間接的ではあるものの、聞きました……。お父様は話をはぐらかして芯の部分は教えてくださらないのですが……その、カイザル様が私たちロレーヌ家の為に動いてくれている事は理解できます。そして、私との婚約もその一環であり、私に対して酷い対応を取っていたのもいずれ婚約破棄をする為に、私がカイザル様へ負い目を感じないようにという物である事も、今ならば推測する事ができます……っ」
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