第39話 部下であるエルフの女性
「アーシャ……俺の側仕えをしてくれるのはありがたいのだが、そうするとアーシャのやりたい事も出来ないだろう? せっかく復讐とは関係ない人生を歩めるんだから、奴隷だからといってわざわざ俺の側にいる必要は無いんだぞ?」
「そ、そんな……っ!? この私は必要ないって言うのかっ!? そ、そりゃ私はご主人様より弱いけど……でも身の回りの世話はできるし、それこそお望みとあれば下の世話だって……むしろこちらからやらせて欲しいくらいだっ!! な、なんなら今夜あたりでも試してみるかい?」
そのアーシャなのだが、今までは復讐にとらわれた人生であっただろうからこれからは自分の為に生きて欲しいと言うと、アーシャは泣きそうになりながら俺に縋ってくるではないか。
「いや、下の世話は断るけど、アーシャが俺の世話を自ら望んでやりたいと言うのであれば、それで良いんじゃないか?」
「では、このまま側仕えとしてお側にいさせてもらうよっ!!」
そしてアーシャのやりたい事が俺の側仕えだと言うのであればそれを無下に断るのも違うので、やりたいと言うのであればそのまま仕えれば良いと言うと、アーシャは満面の笑みを浮かべながら嬉しそうに俺の腕に腕を絡めて来る。
これは果たして側仕えのやる行動なのだろうか? とは思うもののプロの仕事をしてほしい訳ではないのでわざわざ指摘する事はしない。
……腕に胸が当たっているから指摘をしないという訳ではないという事と、前世では魔術の技術をあげる為だけに生きていたようなものだったので、女性に免疫がないとかそういうのでもないと一応言っておこう。
そう言えば、前世で俺と一緒にタッグを組んでいた部下であるエルフの女性は今元気にしているだろうか?
少しばかり気になるのだが、そもそも生きている星そのものが異なる時点で会えるわけがない為気にするだけ無駄なのだが……。
「しかしながら、ご主人様」
「何だ? アーシャ」
「ここは魔術や武術を教わるところでもあるんだよな?」
「まぁそうなるな。帝国七騎士もこの学園の卒業生が三名いる程だからな、帝国一の学園と言って良いだろう」
「ふーーん、にしては強そうな奴が一人もいないわね」
「まぁ、ほとんどが肩書の為に卒業する事が目的の貴族の子供だからな……。純粋に強さを求めて学園に入って来ている学生の数は必然的に少なくなるだろうから、こればかりは仕方がないな。ただそれでは学園の面子として良くないので全体の底上げとしての平民枠があるのだろう。逆にいえばここに入学できる平民はかなりの実力の持ち主であり、同時に今の現状を抜け出したいという明確な目標を持っているものも多いので貴族の生徒よりかは骨のある者が多いイメージはある。それと同時に『平民なんかに負けられない』という貴族としてのプライドも刺激できるため良い相乗効果だとは思うが、何百何千という中から選ばれた平民と、親が貴族だからという理由で入学できた者との差は大きく、入学して一年も経たずに今のような現状となる訳だ」
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