　かといってこんな使えない奴を奴隷にしたところで、要らないしな……さて、どのようなデメリットが良いものか。

「だったら俺は学園を卒業したら平民になってやるよ」

「は？　何言ってんだお前？　廃嫡されている時点でお前は卒業したら平民だろうが。そもそもまだ学園に通えている時点で親に情けをかけてもらっている状態な上に、学園の規則がどうだなどと言っているから分からなくなっているのかも知れないが、そんなお前が俺に対してため口を聞いている事自体立場上あり得ないんだよ。それすら俺がわざわざ咎めていないから問題なく偉そうな態度を今まで通りできる訳であり、本来であれば嫡男ではない将来平民になる事が決まっているお前は俺に対して敬語を話さなければならない事を理解しているのか？　というかいつまでお前は貴族の嫡男のつもりでいるんだ？　そろそろ現実を直視しろよ。学園の規則を持ち出さないとため口で俺に話せないのが今のお前じゃねぇかよ。そんな奴が『卒業したら平民になる』とか馬鹿言ってんじゃないっての。卒業したら平民になるような奴が何の冗談だよまったく」

　どんなデメリットが今のプレヴォには合うのか考えていると、あまりにも頭のおかしい事をプレヴォが言うので思わず長々と言い返してしまう。

「た、確かに俺は貴族の嫡男を廃嫡されたかもしれないが、それはお前が仕組んだ罠だろうがっ！！　それさえ暴くことができれば俺はまた嫡男へと戻るはずだし、俺レベルになれば例え廃嫡したとしても在学中に様々な功績を残して爵位を授与される可能性だってあるんだっ！！　そもそも汚い手段で俺を騙したお前に何で俺が敬語を使わないといけないんだよっ！！」

「お前……本当に頭が弱いんだな…………」

「あ？　なんだってっ？」

「何でもねぇよ。とりあえずお前が負けた時のデメリットは……そうだな『俺に対して表向きは敬語で話し、敬うような態度を取る』事にするか」

「フン、それで良いだろう。どうせ負けるのはお前なんだからこの決闘においてのデメリットなど有って無いような物だからな。それにお前に敬語ではなし、敬うなど奴隷になるという重いデメリットのお前と違ってかなり軽いデメリットだしな。まぁ良いだろう」

　そしてバカの相手で体力をかなり消耗させながらもなんとかお互いに負けた時のデメリットを決め、決闘を始める為に第四修練場の真ん中へと歩いていく。

「じゃぁ、このコインが地面に落ちたら試合開始の合図で良いか？」

「カイザルがそれで良いなら俺は構わない」

　そして俺はプレヴォの返事を聞いた後、コインを取り出して真上に弾く。