第33話 俺と大差ないくらいのクズ
俺の親指で真上に弾かれたコインは、やがて上昇を止め、重力によって地面に落下する。
「このコインが落ちた瞬間、お前は俺に喧嘩を売った事を後悔ゴバァァァアアッ!?」
その瞬間俺は予め足に溜めていた魔力を放出して一気にプレヴォへと間合いを詰めると、そのままプレヴォの顔面へと掌底を撃ち込む。
勿論手加減などせず全力だ。
一般人であれば死んでいてもおかしくない威力ではあるものの、腐っても学園トップレベルなので、何とか生きているだろう。
多分。
というか、そもそも俺の攻撃を避ける事ができなかったプレヴォが決闘であれば避けられるようになる訳もないので、それを知っていて掌底を顔面にぶち込んだ手前、ほんの少しだけ罪悪感を覚えてしまう。
それこそ俺がまだ子供の頃セミの交尾をバラしてしまった時の事を思い出した時に感じるくらいの罪悪感である。
とりあえず死にかけなら回復させてやらなければならない為、面倒くさいもののここで死なれた方がさらに面倒くさい事になるので、俺はため息を吐きながら第四修練場の端まで吹き飛んで行ったプレヴォの様子を確認しに行く。
「ぶひゅっ、ぶひゅっ、ほ、|ほまへっ!! このほれはまにこんな事をひて、ただですむほおもっへひるのはっ!?《お前!! この俺様にこんな事をして、ただで済むと思っているのかっ!?》」
「さすが学園トップレベルというだけはあるなっ!! あの掌底を無防備な状態でもろ喰らったというのに前歯全て失い、鼻の骨が折れる程度で済んだんだからなぁ!!」
どうやら俺の心配は杞憂であったようで、鼻の骨が折れたせいか、鼻の穴から鼻血が噴き出ており呼吸音が若干変な感じになってしまい、前歯が全て失った為上手く言葉を発音できなくなってしまっている以外は大丈夫そうである。
「ふ、
「あ? ふざけているのはお前の方だろう? なんで決闘で家の権力を使おうとしているんだ? 『ただで済むと思っているのか』というのは、そういう意味だろう? プレヴォ、お前舐めてんのか? お前が家を出すならこっちとしても公爵家としてお前を潰しにかかるんだが、それでも良いよなぁ? それとも、もう一度その顔面に一撃喰らわしてやろうか?」
どうせ今までそうやって勝てなくなったら権力をちらつかせていたのだろうし、何も考えず脅し文句が出る程には常習犯と見て間違いないだろう。
プレヴォの奴、表では優等生ぶっているが、裏では俺と大差ないくらいのクズではないか。
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