第28話 一発殴れば治るか?


「フン、どうだか。まさかオリヴィアがお前に篭絡されていたなんて想像もできなかったぞ。いったいどういった手管であのオリヴィアを篭絡したんだ? 今度教えてくれよ? なぁ? この俺様をコケにしたらもう用無しとばかりに俺の事を捨て、ここ最近ではお前に熱い視線を向けるばかりで俺の言葉なんか聞きやしないから直ぐに気付けたぞ? お前たちが裏で繋がって俺を貶めたって事がなっ!! ふざけやがってっ!! お陰で俺は家で父親から罵られ弟からはバカにされ母親からはゴミを見るような目で見て来るじゃないかっ!! どうしてくれるんだよっ!?」

「……いや、そうなるような犯罪をしたんだから当たり前だろう? やる前にメリットとバレた時のデメリットを天秤にかけずに行動したお前が悪いんだろう? あと俺とオリヴィアは繋がってなどいない。変な勘繰りは即刻やめろ。二度目は無いぞ?」


 そして自分が落ちぶれた原因を全て俺のせいにして、唾を飛ばしながら突っかかってくるプレヴォの姿を見て、前世でもこういう『自分の現状は全て周囲のせい、環境のせい、時代のせい、親のせい』などと原因は全て他責にする他責思考の奴が俺の周りにもいたなと過去を懐かしむ。


 しかしながら、だからと言って先程からの『オリヴィアも一緒に貶める発言』に関しては流石に許せるものではないので一応次は無いと警告を入れておく。


「お前ごとき雑魚が何を言てるんだよっ!! この俺に一度も勝ったことのないお前が俺に対して何ができるって言うんだよっ!? パパに泣きついて俺の家に制裁でも与えようってかっ!? それは凄いでちゅねっ!! そんな奴が良くオリヴィアを篭絡できたなっ!! たしかあそこの家は俺の家が麦の栽培を始めてから一気に落ちぶれたから、お金で篭絡でもしたのかっ!? 財と権力しかないお前らしい方法だよっ!! なんなら俺が今から暴力でお前を黙らしてやろうか? そうだな、嫌ならば土下座して俺の靴を舐めた上でとりあえず金貨百枚くれればやめてあげても良いかもなぁっ!!」


 俺が機械的な反応ではなく生の反応をした事がそれだけ嬉しかったのだろう。まるで水を得た魚のように生き生きと饒舌に暴言を吐き散らしていく。


「お? 怒っちゃか? でも万年成績がドベのお前が成績上位の俺様相手では逆立ちしても勝てないぞ? オリヴィア曰くあのダンジョンは難易度A以上でありドラゴンも出現したがカイザル様が倒しただなんだなと言っていたがそんな事嘘つかせて恥ずかしくないのかよっ!! どうせオリヴィアにダンジョン攻略させたんだろうっ!? 女の功績を横取りするのもダサすぎグボホォっ!?」

「良く鳴る玩具だな。一発殴れば治るかと思って殴ってはみたが、どうだ?」


 

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