第13話 世知辛いね、まったく


「そうだな、学園内でしかキャンキャン吠える事ができないような雑魚の相手などしているだけ時間の無駄だからな」

「な……っ!?」

「あ? なにがおかしい? 事実だろうが。悔しかったら公の場、そうだなそれこそ皇族主催のパーティーで同じ事を言ってきたらどうだ? まぁその瞬間俺は公爵という立場を使ってお前を真正面から潰してやるよ」


 そして俺はプレヴォへ言い返すと、悔しそうにこちらを睨むだけで言い返せず『ぐぬぬ……っ』と唸っているプレヴォのいるこの場から去る。


「それでは、皆さん低ランクのダンジョンだからといってふざけずに、真剣にダンジョン探索をしてきてくださいね」


 その間担任の教師はダンジョン探索においての注意事項を説明していたようで、丁度これからダンジョン探索を開始するようである。


 そして、グループができた者から十五分置きにダンジョンへと潜っていくのだが、それは別に良いのだが所詮は申告制であり正しくは『ダンジョンへ潜りたい順番で潜る』というものであった。


 その為、プレヴォは俺にダンジョン内で嫌がらせをしようと思っていたのだろう。


 どうやら俺がダンジョンへ潜った後に続いて潜ってきたようである。


 それも、俺に追いつくためにかなり速めのスピードで進行していたであろうことは、同じグループのメンバーたちの荒い息遣いから察する事ができる。


「なんだ? 出来損ないはダンジョン探索もまともにできないのか? というか、ダンジョンで何かあっても証拠が無いんじゃぁどうしようもないよなぁ?」


 そしてプレヴォは俺に追いつくや否や、俺にだけ聞こえる声でそう煽ってくる。


 うーーーーーん、控えめに言ってクズ。


 まぁ、俺も人のこと言える立場ではないのだが。

 それと『証拠を残しにくいから何やっても良い』というのであれば、俺もコイツに何やっても良いんだよな? と一瞬考えたが、俺とプレヴォが担任に告げ口したところで俺の証言よりもプレヴォの証言を信じるだろう。


 まさに身から出た錆といったところか。


 世知辛いね、まったく。


 さて、どうやってコイツをあしらおうかと思っていると、ダンジョン全体が青白く輝き始めるではないか。


 そして、次の瞬間ダンジョンの壁や天井、床がうねりはじめ、形を変えていく。


「な、何だこれはっ!? カイザルっ!! お前また何かやったのかっ!!」


 そんな時ですら人のせいにしてくるプレヴォは無視して俺はオリヴィアの元へと素早く近づき、天井から落ちて来る石などから守る。


 オリヴィアに関して俺が今までしてきた行為に対する禊ぎという感情や、お得意様の大事な娘様という点でもここでケガは勿論死なれてしまっては後々面倒である為しっかりと守らせてもらうが、他のプレヴォを含めた有象無象などまで守ってやる義理は無いだろう。


 そして、どれくらいそうしていただろうか。ダンジョンの異変が収まった時にはダンジョンの姿はただの土壁から赤いレンガへと変わっており、周囲にいたプレヴォたちの姿が消えていた。


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