第12話 プラス一本も潰すのも良いだろう
確かに俺が今までして来た事を考えれば、周囲から嫌われているのも理解できるしオリヴィアが婚約破棄に走る理由も理解できる。
だからこそ俺はオリヴィア、そしてその家族や領地に関しては、俺にもメリットがある方法ではあるものの打開策を打ち立てた訳である。
しかしながらプレヴォに関しては、俺の事を嫌う理由は分かるのだが俺の婚約者を奪い、更に喧嘩を売ってくる理由はないはずだ。
あるとすれば『アイツ俺よりも爵位が上で気に食わないし、態度も横柄で腹が立つ』程度のものだろう。
実際に俺の態度は横柄であった事は間違いないのだが、しかしながらプレヴォに対して暴力を振るったり権力で脅して何かを奪ったり等といった実害は、権力を使って無理矢理婚約者にされてしまったオリヴィアとは違って出していない筈である。
にもかかわらず俺に対してこのような執拗な嫌がらせが続くのであれば、潰す事も視野に入れても良いだろう。
ハッキリ言って目の前でブンブンと羽音を立てて飛ぶ羽虫レベルで鬱陶しい。
そもそも、確かに学園内では爵位や平民と貴族といった立場での優劣は無く皆平等とされているのだが、それはあくまでも学園内に限った話であるという事を今一度プレヴォには教えてやる必要があるのかもしれない。
というか、だからこそ皆学園内であろうとも爵位の高い者にはそれなりの対応をするのであって、俺が今まで偉そうに立ち振る舞えたという事が理解できていないのかもしれない。
だからこそ喚くしか能がないのだろう。
まぁ、潰す事はいつでもできるし、今する事でもないので放っておくことにする。
どうせ潰すのならば一番ダメージを受ける時に、一撃で仕留めたいものだ。
……男としての尊厳的な部分で考えればマリエルの言う通り二つ潰すのも有りかもしれない。その場合はプラス一本も潰すのも良いだろう。
理由はどうあれ人の婚約者を奪うような人間にはこれくらいが丁度いいだろう。
「フン、いつもみたいに言い返してこないのか? そうだよなぁ、言い返せないよな? 何てたってこの俺に婚約者を奪われたんだからなぁっ!!」
そしてプレヴォは俺にだけ聞こえる声でさらに煽ってくる。
そういう行動を取るという事は今現在周囲から見られているプレヴォの人物像『正義感が強く性格も良い上に勉強も魔術も武術もできる凄い奴』という立場を失いたくないと言っているようなものではないか。
ならばその立場とやらを奪ってやるの良いかもしれないな、なんて事を思う。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます