第9話 困った時のマリえもん


「流石マイマスターです。一生ついていきますっ!! 」


 正直高級オイルだけで機嫌を直してくれるのはチョロいなとは思うものの、購入する時に全てのパーツを俺好みの異性の身体と顔にして購入している為、そんな姿をしているマリエルからそう言われると、悪くないと思ってしまう俺もまたチョロいのだろう。


 因みにマリエルの姿はキリっとした顔つきに黒髪ロングに眼鏡をかけ、そしてぺぇは大きくしてある、まさに理想の秘書といった感じだ。


 というか、コイツ本当に人工知能なのかよ? と思ってしまう時もあるのだが、こうしてオイルを『んくっ、んくっ、んくっ、ぷはーっ!! うめぇっ!! 私はこの一杯の為に生きているっ!!』と言いながら飲んでいる姿をみると『やっぱり人工知能を搭載しているロボットなんだな』と思ってしまう。


「それで、マイマスター。私を呼んだという事は何か私に頼みたい事があるのでしょうか?」

「あぁ、察しが良いな」

「仕事のできる人工知能ですので、私」

「……ここにいるシュバルツさんの経営している破綻寸前の領地を黒字回復できる案を検索してくれないか? シュバルツさんの領地の現状は先程圧縮データで送った通りだ」


 とりあえずマリエルのボケを全て拾っていると話が進まないので軽くスルーして、マリエルを呼んだ理由である『シュバルツさんの領地改革』について意見を出して欲しい旨を告げる。


「なるほど……農民が大半であるこの領地で作られていた穀物である大麦が、別の領地でさらに安く、また大規模に作られてしまい、商人がこの領地で大麦を買わなくなった。そして買っても安く買いたたかれる為赤字であり農民からの税も見込めない状態であると……。そして今現在大麦の在庫もかなり余っているのであれば、麦焼酎を作ればよろしいのでは? 幸いこの国には麦芽から作られるウイスキーはあるものの麹から作られる麦焼酎は存在しないようですし。それに万が一真似された所で酒をブランド化、そうですね『元祖麦焼酎』とか付ければよろしいのでは? それに作られた場所や工程によって風味も変わってくるので多少他で似たような安酒が出たとしてもそうそう客が離れる事は無いでしょう。さらに貴族が好めば逆に高い酒の方が好んで買われるかと。そして連作障害を防ぐために裏で米を作る二毛作をすれば一年で二度穀物を収穫でき、その流れで日本酒も作っちゃいましょう」


 うん、流石困った時のマリえもんだな。


 という訳で早速シュバルツさんとこれからの事を詰めていく。


 その内容なのだが、まず麦焼酎なのだが初熟成であれば半月ほどで出来上がるのだが、それまでの援助は俺が行い、そして順次初熟成、中期熟成、長期熟成と販売していく。 日本酒に関しても同じような内容にしてある。


 その麦焼酎の売上から余裕のある範囲でクヴィスト家へと借金を返還していく。


 もし失敗した場合は俺が他に案を出し、援助する。


 成功した場合は援助した分の見返りとして借金返済するまでは売上から二%を、借金を返済し終えてからは売り上げから二割を毎月俺に渡す。


 当然麦焼酎の製造方法は他言無用であり、製造に関わる領民にもその旨の契約書を交わす。


 大まかに説明するとこんな感じである。


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