第7話 有用である事は間違いない
まぁ、そうなるくらいまでオリヴィアを追い込んでしまった俺のせいでもあると言われれば、言い返す言葉も無いのだが……。
そんな事を思っていると、シュバルツさんは俺が何か良からぬことを考えていると思ったのか、みるみる顔が真っ青に変化していき、泣きながら繰り返し『どうか命だけは』と懇願して来る。
「では、シュバルツさんの命を助ける為にあなたの領民の命を三名捧げよと言えばどうする……?」
なので俺はシュバルツさんを試すような質問をする。
ここで俺の望んだ答えを言うのであれば、その時はシュバルツさんの命を担保に金貨三千枚を利息無しで返還してもらうだけである。
「そ…………っ。その場合は私を殺してください……っ。その代わり、我が領民たちには手を出さないと誓って頂きたいっ!!」
すると先ほどまで俺の前で怯えるだけであったシュバルツさんは、俺の目を力強く睨みつけると『自分が死ぬから領民には手を出すな』と言い切るではないか。
「…………」
「カイザル様……?」
「まさか俺の欲しい言葉を、しかもあれほど力強く言われるとは思っていなかったからな。少しばかりびっくりしたよ。勿論いい意味で。とりあえず試すような真似をした事については謝罪しよう」
「は、はぁ……」
まさかあそこまで言い切るとは思っておらず、少しばかり固まってしまったのだが、とりあえずシュバルツさんには試すような真似をした事について謝罪するのだが、当のシュバルツさんは何が何だか理解できないと言った表情で俺の事を見つめて来る。
「すまない。何も説明していない状況では何が何だか分からないよな。とりあえずシュバルツさんには俺と一旦この場で魔術書を使って契約してもらう。これは決定事項だ。気に入らないのであれば契約の内容を確認後に自殺する事を選ぶ権利を与えよう。その契約の内容なのだが、単純だ。『部外者に対して、俺によって知りえた全てを秘匿せよ』これだけであり、他の縛りなどは無い。信じられないのであれば契約書を確認すればよい。どうする?」
「…………確かに、それだけの……裏組織でよく使われる契約内容ですね。分かりました、契約しましょう」
そしてシュバルツさんは念入りに契約書を確認したあと、俺がストレージから出した魔力が注がれたインクを使って契約書へサインする。
因みに『部外者に対して』と記載しているのは、そうしないと他にできるであろう関係者に対して指示ができないからである。
その事を確認すると、俺は同じくストレージから人工知能(AⅠ)搭載人型ロボM-七四六型機、マリエルを取り出して起動する。
このマリエルなのだが、前世で使用していたものであり、戦闘面は勿論、家事もお手の物なのだが、それ以上に人工知能、前世の膨大なデータを利用できるというのは、前世は勿論今世でもかなり有用である事は間違いないだろう。
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