第4話 俺から言ってやる


 そう受け粗目線で告げて来るプレヴォの表情は、まるで勝ち誇ったかのような表情をしており、その後ろでプレヴォの背中に隠れながらこちらを窺って来るオリヴィアは、プレヴォがそう自信満々に話始めた事でどこか少し安心したように見える。


 この流れから、この後起こるであろう展開はある程度予想できるというものである。


 まず、学園内では爵位や平民など関係なく皆平等という有難い規則はあるものの、そんな有難い規則など有って無いようなものであり、実際に平民は見下され、位の高い爵位を持っているものは威張り散らしているのが現状である。


 そんな状況であるにも関わらず爵位が俺よりも低いプレヴォが上から目線で話しかけてくるという事と、オリヴィアがプレヴォ側についているという事から大体の事は察する事はできよう。


「なんだ、オリヴィア。この俺様との婚約を破棄して、新たにこの無能と婚約する事でも決まったのか?」


 なので俺は相手に言われる前に俺から言ってやる。


 そうする事により、先に言われてから言い返すよりもまだ負け惜しみ感は少なく見えるだろう。


 因みに口癖は、前世の事を思い出した事がバレると色々と面倒くさい事になりかねないので今まで通りの口調で喋るつもりなのだが、このプレヴォというヤツが普通にウザく感じてしまった為演技などではなく素で煽っているような口調になってしまうのは仕方がないだろう。


「ぐっ……知っているのならば話は早い。お前の言う通り本日付でお前とオリヴィアとの婚約は破談され、そして代わりに俺との婚約が決まった。いくらお前やお前の家族が異を唱たり暴れたりしようとも既に決まった事である以上覆す事はできないっ!!」

「あ? バカなのかお前」

「フンッ、何とでも言うがいい。まぁ、全て負け犬遠吠えだけどなっ!!」

「いや、俺が実家の資金や権力を使い高ランク冒険者を雇ってお前たち家族や親しいものを人質に取るなどという事は考えなかったのか?」


 そう俺が言うとプレヴォとオリヴィアはみるみるうちに顔が真っ青になっていく。


 どうやらこ二人はそこまで考えていなかったようで、思わずため息をついてしまう。


「ぐぬ……っ! そ、そうやってオリヴィアの嫌がる事ばかりをして来た報いがこれであろうっ!! 貴族の風上にも置けない奴めっ!!」


 そしてプレヴォは、俺が暴走しないように『まさか公爵家の者がこんな最低な行為はしないよな?』と俺のプライドを刺激してくる。


 確かに、俺はそう言われても仕方のないような事をして来たのだが、それとは別にオリヴィアの家に援助した多額の資金はどうなるのだ?

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