第4話「極寒の街と、春先と。」

年末年始を過ぎると、愛姫にとって、厳しい季節と言っても過言では無い、最も寒い時期が来た。


そう、1月から2月にかけての「極寒のシーズン」

いわゆるスキーシーズンと言われるとても寒くなるシーズンだ。


対して、友姫は、ケロッとしていた。


そもそも愛姫は初夏の生まれ。

友姫はこの時期の生まれ。

そりゃそうだ。

ましてや、愛姫は、南国に近いところで育っているから尚更だ。寒さにめっぽう弱くて当然の結果だった。

友姫は、そもそも、冬生まれで、極寒オブ極寒のエリアにも住んだことあるともなれば、結果は見え見えだ。


そこそこな頻度で会っていたが、その度に愛姫は寒いと、何度も言っていた。


でも、どこか、友姫といると、愛姫は、あったかいなと感じることは変わらなかった。


どれだけ物理的に寒かったとしても。精神的にはあったかくて、もっと一緒にいれたらいいのに。と。

それは、お互いに思っていたのだろう。

全てお互いの行動に出る2人のこと。

そこそこな頻度で会うなんてそういうことだ。


ただ、会うにしても、ホテルに行くなんて言うことは出来ない。

でも、会って、なにか一緒に食べる。

話をする。

それだけでも貴重で楽しくて、幸せな時間だったことに変わりない。



春先になるにつれて、お互いにスケジュールも合わせられるときも少しは増えてきたが、友姫が別の意味で忙しくなってきた。

それは、卒業のための必要な行事。

友姫は高校最後の年。

その、最後の学期から、翌年度6月まで。

その行事が終わるまでは時間取れる時が極端になるし、なんなら、近づけば会えなくなることも多くなる。


愛姫はどこか寂しかった。

仕方の無いことだと頭でわかっていたとしても。

あのあたたかさがあるからこそ、生きてていいんだ、頑張ろう、と。

それが触れられない、感じられないと思ったらどこか不安だったが、時間は待ってくれずに春先を通り過ぎてった。

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