第136話 大ボスまさかの合体、ラージカイザースライム・ナイト
*7
マジかよマジかよマジかよ! いや倒せないこともないけど、カロリーの消耗が激し過ぎないですか?
だってラージカイザースライム・ナイトなんて、第5階層の大ボスにしてもいいぐらいだよ? そんだけ強いんだよ? 海も広いんだよ?
ダメだ、脳に糖分が──そういえば、クルーザーから良い匂いがしてたな。きっとあれは朝飯に違いない。
くぅ〜、こんなダンジョン朝飯前だと高を括っていた自分が憎い。
これならちゃんと朝飯を食べて朝飯後のダンジョンにすればよかった。
うおっ! そんなことを考えてる内にラージカイザースライム・ナイトの大剣の大振りが襲ってくる。しかもこいつやたら敏捷だから、大剣を大振りするのも速い鬼畜ボスなんだよな。
まあ当然避けますが、その避けた先に待つ衝撃波が、グオオオ!!
威力的には対して無いが、こんなの数十回、数百回も食らったら流石にキツイ。しかもこっちは薬草の1つも無いオワタ式縛りプレイだもんな。
戦闘を長引かせれば、長引かせるほど、こっちが不利になる。
てなわけで、できるか判らんが、ゴブリン・ロードに使ったリコの大技を教えてもらおう。
「リコー! お前が使った波動思念の波動じゅうげきって、どんな漢字だ?」
「ああ!? まさかバリガチ鏡佑も使おうとしてるのか? 無理無理。あれは俺が珍しく、ちゃんと修行して覚えた技だから」
自分で珍しいとか言っちゃったよ。
「でも教えてくれ! なんか閃いた!」
「そうかい! じゃあ教える代わりに、このデカブツを倒す手段も教えろよな!」
「解った!」
リコ曰く、じゅうげきは、重力の重に、過激の激だそうだ。
『
付け焼き刃の波動思念だが、何だか僕なら行けそうな気がする。
そう、思い込みというイメージはかなり大事だ。
できないことでも、毎日のイメージトレーニングでできるようになったりする。
スポーツ選手が強力なイメージトレーニングで、自分よりも強い相手を倒したり、競技でまさかの大技を披露する事はたくさんある。
僕もその事例に便乗して、あの大技が出せれば、上手く連携技で倒せる
しかも何が厄介かって、このラージカイザースライム・ナイトはHPが半分になると、スライムがまた巨大化して、その上に跨っているナイトが3人になるのだ。
この鬼畜ゲーをソロでプレイして、100回ぐらいは死んで心が折れそうになったことか。
そのうち、一体何回死んだのかも数えなくなり、自分は何と戦っているのか、訳がわからなくなったこともあったな。でも冷静になってから100回ぐらいと判ったが。
でも死ぬすぎだろ! さすが天下の鬼畜死にゲー『ダーク・ダンジョン』。
ってええ! 今はそんな過去の思い出に浸っている場合ではない!
「鏡侍郎! リコ! よく聞いてくれ! そいつは一撃で倒さないと、もっと巨大化して、上に跨ってる騎士も3人になる! だからやるなら、一撃必殺で倒すぞ!」
「おいクソ兄貴! 何が『倒すぞ』! だ。勝手に格好つけてんじゃねえ。俺らが知りたいのは、倒し方だ! 精神論じゃねえ!」
「そうだぞ鏡佑! バリガチイキってるけど勝算は?」
「ある! まずは鏡侍郎の『サウザンド・ダンス』で敵を壁際に追い込んで逃げられなくなせる。コイツは動きが早いから、地響きでよろめかせて、近づいては逃げさせて、そして追い込むんだ! その後は、鏡侍郎の『テンサウザンド・インパクト』の攻撃で動きを封じる! 攻撃を食らってる最中は、コイツは動きが止まるんだ。そこに追い討ちで僕とリコで賭けのダブル『波動重撃』で倒す!」
「おいこら! バリガチ待ちやがれ! いきなりお前が『波動重撃』が使える訳ないだろ」
まあ、ごもっともな意見だよな。でもやるっきゃない。
「ああ! 確かに付け焼き刃の大技だ。僕でも行けるか判らない。だが、もし失敗しても次の手があるから安心してくれ!」
「何だよ。ちゃんとバリガチ考えてんじゃん! なら文句はねえ!」
「ああ、俺もだ! 付け焼き刃の賭けに頼るなんて、真っ平ごめんだからな!」
嗚呼、ごめんよ2人とも、次の手なんて考えてないんだ。でもこう言わないと、2人ともやる気になってくれないからさ。嘘も方便なんだよ。
「それじゃあ行くぞ2人とも!」
「「応!」」
「ぶっ潰れな! 『サウザンド・ダンス』!」
鏡侍郎の【グランド・バーサーカー】が踊り始め、地響き立っていられなくなった。
当然とろめく。敵もよろめく。そこに透かさず【グランド・バーサーカー】が近づけば……あらまビックリ。敵さんは猛ダッシュで逃げる。
これを繰り返して、壁際に追い込み、逃げられなくさせた。
お次は、頼むぞ鏡侍郎!
「これで逃げ場はねえぜ。やれやれ全く方が凝る野郎だ。吹っ飛びな! 『テンサウザンド・インパクト』! ウッぜえええええ!!」
おお効いてる効いてる、これでHPの半分は減ったな。それじゃあ、これからが本番だ! 行くぞ付け焼き刃の『波動重撃』
「リコ!」
「解ってんよ!」
右手の拳骨に思念気を溜めて溜めて溜めて──よし、このパワーなら!
「「食らえ! ダブル『波動重撃』」」
リコが右から、僕が左から、そして見事、付け焼き刃『波動重撃』が直撃した!
当たった時の威力も申し分ない。まさに渾身の一撃だ!
「グヌ、ググウグ。私のティータイムが……グフ」
コイツ最後までティータイムに拘ってたな。そんなに美味しいの? チャーイって。
まあそんなことよりも、目の前で黒い霧になって消えたってことは、無事撃破だ。
ん? なんだこの重い石が動く時の重低音は? おっ! 上層の階段が現れた!
はあ、倒したんだ。しかも一回で、僕は100回以上──いや、やめよう惨めな気持ちになる。
とにかくこれで第3階層に行けるぞ。
第1、第2ときて、お次は第3か。まだまだ鬼畜なダンジョンが続くんだろうな……。
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