第111話 木の流派の風雲児、臥龍リコ
*4
ええ〜現在、臥龍の屋敷に向かって、と言うか、アホどもと空中を飛んでいる最中でございます。
その前に、臥龍の店を出る時、なぜか、ビビが猫の姿で僕の頭の上に乗ってきた。
きっと話を聞いていたのだろう。僕についてくれば、因縁のスペイドとホラキに出会えると、動物の感がそうビビに教えたのかもしれない。
つーか、毎回僕の頭の上に乗るのやめてくれよ。
その姿を見たコチョウは少し笑っているようだった。
まあそんなことはさておき、向かうは新戦力が待つ臥龍の屋敷だ。
しかし鏡侍郎は、『波動脚煌』で、僕らが飛んでいることに対して、驚かないのか?
まあ、鏡侍郎もピース能力者なわけで、と言うか初めて鏡侍郎の能力をじっくり見た。
僕が今から飛ぶからジャンプして。臥龍の屋敷に向かうから肩を掴んでいてくれと言ったら、なんと自分のピース能力で悍ましい化け物を現出させて、その化け物が今、僕の脚を掴んでいる。
うう……なんという威圧感と見るからに戦闘狂らしい、鏡侍郎のピース能力。
シンプルが故に怖いな。きっとタイプは『現出型』だろう。
凄い戦闘力を持ってそう。
と、まあ考えてるうちに、すぐに臥龍の屋敷が見えてきた。
空中から見ると、その凄さが判る。
一体なん坪ある武家屋敷かは知らないが、軽くゴルフ場は、すっぽり入って
しまうぐらい大きな武家屋敷だ。
屋敷というよりも、要塞に近いぞ。
「おい。若衆たち。真ん中で降りるぞ!」
コチョウさんがいうなり「「「はい!」」」と、息ぴったりのアホアホ三人娘たち。
よっぽど、コチョウさんが怖いんだな。
そして、無事に臥龍の屋敷の真ん中の平野というか庭なんだけど、もう平野でいいや。だって広すぎるんだもん、庭が。
その平野に降り立つと、遠くまで聞こえるように、コチョウが大声を発した。
「リコーーー!! 出てこいいいいい!!」
その声と同時に、武家屋敷から飛び出す人影が──
「見つけたぞ! 逃すか!」
そして、コチョウがリコなる人物を空中で捕え、僕らの下まで降りてきた。
「なんだ? なんだ? 心絵たちまでいるじゃねーか! それに兄者もいるし、部外者までいんのかよ! 俺は修行なんてやらねーからな。なんたって俺の四大言語は、修行! 束縛! 忍耐! 我慢だああああ!!」
ああ、ダメだこいつ、しかもなんなんだ? この変な格好は。
年齢は僕よりも少し上の18歳ぐらいだが、とにかくズボンがダボダボだ。
ダボついた、真っ白な忍者のズボンみたい。
もしくはサルエルパンツにも見える
上着は真っ白なタンクトップ姿に、紺色の甚兵衛を軽く羽織っている。
左の手首には、大きな数珠をリストバンドみたく3つもつけているぞ。
おまけに、なんだろう、これは──人工的というか生まれつきだろう、臥龍が以前沖縄で、自分の弟はアルビノで、生まれつき瞳が赤く銀髪だと言っていたが、その銀髪の毛が凄い天然パーマーのテンパーなんだ。
そして、素足に黒い雪駄を履いてる。
きっと、コチョウから逃げるときに咄嗟に履いたのが雪駄だったんだろうな。
身長は鏡侍郎ほどではないが180センチ強はある。つまり190センチに近いぐらいだ。
筋骨隆々というよりは、筋肉はすごいが、若干細マッチョ寄りだ。
「そのことで、話に来たのだ。今日は修行の話ではない」
コチョウは、臥龍の店での僕の説明と妙案を淡々と、リコに話し始めた。
「なるほどな。だが断る! な〜んで見ず知らずの奴に、このリコ様が──」
「リコ。もし奴らの力になってやるなら、3年間修行免除でどうだ?」
「よっしゃあ! そのジェイトってやつをぶっ倒しにいけばいいんだな! やってやるぜ!」
やれやれ、なんとも解りやすい、と言うか解りやす過ぎる性格だ。
僕がジロジロ見ていると、リコが喧嘩を売ってきた。
「あぁ!? 何見てんだ? 銀髪が珍しいか? 赤い瞳が珍しいか? テメーみてえなバリガチ金髪ストパーアホ毛野郎に、俺のテンパーの悩みでもバリガチ解んのか!? あぁん!? それに瞳も赤い俺のパクリ野郎が!」
やっぱりテンパーだったんだ。
てか、別にテンパーをバカにしたわけではないのだが。それに赤い瞳もパクっていないぞ。
「おい! テメーがジェイトを倒す助っ人って野郎か? あんま強そうには見えねーがな!」
「おいおいバリガチ舐めた野郎だな。テメー見るからに俺より年下だろ! 敬語使えや! それに俺には、テメーの方がバリガチ弱そうに見えるがな!」
ちょっと、なんで喧嘩モードに入ってんの?
え? え? これマジで喧嘩になる流れなのか?
つーかコチョウも心絵たちも止めろよ!
臥龍に至っては兄貴だろ!
もっと威厳を見せろ。
ああ、ヤバい。
2人とも臨戦態勢に入っちゃってるよ。
この後どうなるの?
てか、やっぱり喧嘩だよね……。
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