第73話 昼夜逆転すると、ゲームやネットばっかやってドライアイになる
*1
「おいホラキ! まだあの、ナノマシン動物兵器は見つからないのか!?」
「い、いえ、い、い、居場所は特定出来ていますが、ま、ま、まだと言うか──ほ、ほ、ホムンクルスとして造り、そ、そ、その体内は全て──な、な、ナノマシンなので、つ、つ、追跡が困難でして……」
「無能の戯言などいい! 早くあのパープル以上の戦力になる、ナノマシン群体の動物兵器を戦力運営しなくては、クーロンとの戦争に勝てないぞ! 解ってるのか!?」
「わ、わ、解ってます。ですが──じ、じ、ジェイトさんが数日前に、な、な、何者かにパープル・カプセルを作る工場が爆破される前に──そ、そ、その……擬似『ミラーリング・ゲート』の開発を無理矢理行って。に、に、二元宇宙だったものが多元宇宙のマルチバースになって……」
「黙れ! 忘れるなよホラキ。俺はいつでも、貴様を始末することが可能なのだぞ!」
(う、うーん。なんだ? うるさいなぁ……マルチバース?)
「は、は、はい黙ります。ですがその──ま、ま、マルチバースになった時に起きた時空の歪みに吸い込まれて……ぴ、ぴ、ピースの黒石も、パープル・カプセルも大量に、ま、ま、マルチバース内に呑まれてしまい、た、た、大変な損失を──」
「その穴埋めをするのが貴様の役目だろ! 言い訳など聞きたくない! さっさと自分の為すべきことをしろ! でないと……」
「わ、わ、解りましたジェイトさん! す、す、速やかに対処しますから、どうか命だけは……」
(ああ〜もう、うるっさいなぁ! うるさいって言ってんの!)
ドサッ!
「グエッ! な、何だ?」
見ると、ベットから落ちてしまったようだ。
エアコンが壊れた時と似ているな……。
何だよ、夢か。
しかし僕の夢に勝手に、あの恐怖の塊みたいなジェイトと、マッドサイエンティストみたいなホラキが出てくるなんて──
マジで最悪な夢だぞ。
と、その前に今何時だ?
気になり、僕が時計を見ると午後の10時だった。
「えええええ! 仮眠のつもりが半日も寝てたの!?」
そう、僕と
僕が家にたどり着くと、もう午前10時で、泥のようにグッチャリと疲れきった体は、ベットに吸い寄せられ、そのまま意識を失い眠りについた。
そして今。
時刻は半日後──つまり12時間後の午後10時である。
「まいったなぁ……
なぜ僕が臥龍に言い訳をしなくてはいけないのかと言うと──今日の午後は臥龍のゴミ屋敷──もとい骨董品店で、店番をしなくてはいけなかったからだ。
恐る恐る携帯電話を見ると──30件も臥龍からの着信履歴があった。
さっさと、電話を掛け直せと促すように……。
でも、今はもう夜の10時……寝てたなんて言ったら、余計に臥龍の逆鱗に触れてしまう。
仕方がない、謝罪は明日に回そう。
しっかし、半日も寝ていた所為か、全く眠くない。
清々しいほど、お目々パッチリ。
でもお腹が減ったなぁ。
幸いなことに、冷凍食品のパスタと、カップラーメンがあったので、それを食べる僕。
うーん、炭水化物増し増しだなぁ……。
だが、これでお腹も満腹です。さぁ寝よう──って、眠れない。
当然か、半日も寝てたら、そりゃ眠くならないよね?
仕方がない、ゲームでもして眠くなったら仮眠しよう。
しっかし積みゲーの嵐だ。
全部中古だけど。
ここは、時間的にもサクッと終わらせられる、RPGではなく、FPSでもやろうかねぇ。
1時間経過──2時間経過──3時間経過──4時間経過──5時間──って! 全然眠くならねぇ!
チートになったのはいいけれど、時間操作とかの能力まではないよな……。
だってあれってチート級のチートだもん……。
やれやれ──僕には、どこぞの吸血鬼さんみたいに、時間を操る入門者にはなれないようだ。
時計を見ると、もう朝の4時ですよ……。
何だかゲームにも飽きたし、ネットサーフィンでもしようかな──なんか炎上してる掲示板とかあったら、時間を忘れてチェックできるし。
って、あれ? やってることが、チートになる前の僕と同じだ……。
でもまぁ、急にチートになったからって、異世界転移やらで、どこかの中世ヨーロッパ風の場所に転移し、チート級の物理やら魔法やらで無双しまくって──最悪イキリ散らかす最低野郎にもなりたくないし。
ま、まぁあれだ──うん、いきなり人間性は変わらないってことだな。
それはそうと、何か面白そうな掲示板は──ウッ!
な、何だ?
目が、目が痛い〜!
僕の目があああああああああ!(このネタは2回目である、正確に言えば臥龍のネタだが)
あまりの激痛に鏡を見ると、両目の白目が酷い充血になって、まるでモンスターの瞳みたいになってる。
瞳孔も赤いから、尚更である。
しかし痛い。
てか、今何時だよ?
僕が時計を見ると朝の6時だった。
通い慣れて──と言うか、月一に定期検診で言っている眼科は、他の病院と違い、朝の7時半に受付が始まり8時から診療が始まる、朝早く診療することを売りにしている眼科である。
まあ早いと言っても、他の病院は朝の9時ぐらいからスタートだから、たかが1時間の違いではあるが──病院の1時間の違いはかなりでかい。
ポリゴンゲームとCGゲームぐらい、違いがでかいのだ。
それはさておき……。
多分、ドライアイだと思うんだけど──そろそろ定期検診に行く頃だし、丁度いいか。
しかも今日の臥龍の店番の時間は、午後だけだ。
午後に臥龍の店に行くとしたら、午前中に眼科に行く時間は充分あるわけである。
そして、僕は急ぎシャワーを浴びて、眼科に向かった。
黒いカラーコンタクトを外すことを忘れ、さらに、地毛である金髪の髪の毛を、黒く染めることも忘れて、自宅から徒歩で30分ほどの眼科に向かった。
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