第33話 偽善と偽悪



 *16



 「────『呪風撃じゅふうげき』」




 今まで無言だった心絵こころえしゃべった!



 いや、問題はそこでは無くて──喋ったと同時に、まるで手にえ無い刀でも持っているかのように。


 心絵が勢いよく、を回す仕草をした瞬間に──僕めがけて飛んで来た、あかやいばの塊たちは音も無く、全て粉砕されちりとなった。



 その塵が、僕の辺り一面を紅い煙のようにただよっている。


 紅い煙のように見えるのは、きっと何百、何千もの刃の塊がたちまちにして粉々になったので、その塵の量がとても多い所為せいで、煙のように見えるのだろう。



 そして僕は、煙が消えるまでの間。


 自分の口に手を当てて、息をできるだけ吸わないようにした。



 なぜなら、煙に見えるそれは、元が刃物なので間違って呼吸と一緒に吸い込んでしまったら、アスベストみたいに体に悪いと直感的に思ったからだ。



 ある意味で、これは動物的本能なのかもしれない。


 いや、間違いなく動物的本能なのである。



 心絵は何とも涼しげな表情で、りんたたずんでいるが。


 僕は全力で、煙を吸い込まないように、手を口に当てて息苦しさの中で、もがいている。



 男である僕が、無様な姿なのに対して、女の子である心絵が凛としているのは、絵的に物凄く格好が悪い。



 だが、これは動物的本能なので、仕方が無いのだ!



 ていうか……、何度も自分の心の中で、そう言い聞かせないと、格好が付かない。


 最初から何も付けて無いけれど……。




        「ほう。ただの害虫だと思ったが毒虫だったか。

        貴様も灰玄かいげんと同様に、能力者のようだな。

        今の攻撃は、眼に視え無い衝撃波のようだったが……。

        『もう一人の自分』の姿が現れて無い所を視ると。

        『現出型げんしゅつがた』では無いな。

        似たような能力で言えば『抽象型ちゅうしょうがた』に近そうだが。

        しかし『条件型じょうけんがた』に似た能力だと少々厄介だ。

        この無価値で下らない『側の世界』の能力者よ。

        光栄に思え! 貴様にほんの少しだが興味が湧いたぞ。

        すぐには殺さず、実験データのサンプルにしてやる!」




 言って、ジェイトは背中の大きな紅い翼を広げたまま、コンクリートの床に降りた。




 「一つせないのは──最初にこの俺はそこの、ひょろっちい害虫が一匹だけだと思ったが。実際は毒虫も一匹……つまり貴様も居たことだ。ローザの【クリムゾン・ジェイラー】のような『空間型くうかんがた』に近い能力かも知れん。試して────みるか!」




 ジェイトは僕の目の前で、自分の背中に生えている、大きな紅い翼から羽を一枚引き抜くと。


 その紅い大きな羽は、またたく間に、先ほどと同じ刃の塊に形を変え、ジェイトは心絵にその刃の塊を投げつけた。




 「──『波動烈堅はどうれっけん』」




 そう言って、心絵はその刃の塊を手で払いのけると、またしても刃の塊は粉々になった。


 僕の眼の錯覚さっかくかもしれないが──心絵が手で払いのける瞬間、手が銀色に輝いているように視えたが、きっと僕の見間違いだろう。


 頭の中がパニック状態なので、そう視えてしまったに違いない。




 「今──ほんの一瞬だが。貴様の手が銀色に視えたぞ。『変幻型へんげんがた』か……いや、もしくは『具象型ぐしょうがた』にも近い。この無価値で下らない『側の世界』の能力者は実に不可思議だ。スペイドが言っていた通り、シェルルやローザが苦戦しているのも納得できる。だが貴様は、灰玄のように【アルシュレッガの髄液ずいえき】を、体内に取り込んだわけでは無い。つまり攻撃が当たれば、確実に死ぬと言うことだ」




 僕の錯覚では無かった。


 ジェイトにも、心絵の手が銀色に輝いて視えていたのか。


 しかし……分からない。



 このジェイトも全然分からないが、心絵も分からない。


 あの刃の塊を、一瞬で塵にしたり、自分の手を銀色に輝かせて、飛んで来た刃の塊を手で払いのけただけで、粉々にするなんて。





 「よし決めたぞ。まずはそこの無力な害虫から始末し、その後で貴様の能力を観察してデータを集めてやるとしよう!」




 ジェイトが僕をにらみつけて来た。


 まずい……恐怖で動けない……!




 「フハハハハハハ! 死ねえええ害虫がああああ!」




 ジェイトの大きな紅い翼から、また何百、何千という刃の塊が、僕めがけて飛んで来た。


 だが、その刃の塊は一本も僕には当たらなかったのだ。



 なぜなら、心絵が僕の首をつかみ、大ジャンプをしてけたからである。


 そう言えば──この廃工場に入る前にも、僕は灰玄に首を掴まれているんだった。



 今日はやけに首を掴まれる日だ。



 そして──また首が痛い!




 「おい。何をしているんだ? 貴様はなぜ、そんな無価値で無力な害虫を助けたのだ? 貴様にとって、そんな害虫一匹を助けるメリットが、いったいどこにある」



 「────────」





 心絵はジェイトの質問に対して、沈黙で返した。



 ていうか──言わせておけば、害虫ってなんだよ。



 僕は必死で、ジェイトの放つ殺気と狂気の恐怖を感じる中で。


 心臓が早鐘はやがねを打つのを耐えながら、何とか声を振りしぼるように、今できる精一杯の声を出した。



 本当は怖さで、一秒だってこんな場所には居たく無いけれども、自分でも分からない混濁こんだくした感情が、数瞬だけ恐怖を上回ったのかもしれない。




 「おい……! お前……僕は害虫じゃなくて人間だぞ……! それに……お前は死体を蹴っただろ……! まだ少しだけ息が残ってたかもしれない……。助けようと思えば……助かったかもしれない人間に……なんて酷いことしやがるんだ……!」




 別に正義感のつもりで言った訳では無い。


 頭の中は真っ白だ。


 ただ──そう、ただ何も考えずに思った感情を何とか、ぶちまけた。




 「人間────フッ……! フハハハッ! フハハハハハハハッ! フハハハハハハハハハハハハハ!」




 僕の言葉を聞くと、常軌じょうきいっして、狂ったようにジェイトはわらった。




 「な……何がそんなに……おかしいんだよ……! 僕はただ……まだ助かったかもしれない人間を……お前が蹴り飛ばして殺したことを……言っただけだぞ……」



 「人間? 人間を蹴り飛ばしただと? フハハハハハハハハハハ! 何を言い出すかと思えば……、これが笑わずにいられるか! 貴様は大きな勘違いをしているぞ。ここに転がっている【パープル】にもなれない死に損ないは、道に捨ててあるゴミ以下の存在だ! この俺にとって、こいつらは貴様も含め無価値な害虫でしかないんだよ!」



 「なに言ってるんだ……こいつらは害虫じゃない……人間だ……。お前は……その命を奪ったんだぞ……!」



 「命を奪った──だと? なるほど。では一ついてやろう。貴様は道を歩く時に虫の命を奪わない為に、注意深く虫を踏まないようにして道を歩くのか? 歩かないだろ? つまりだ。貴様も毎日何も考えずに、たくさんの命を奪っているんだぞ! こんな風にな……!」




 言って、ジェイトはローザが大量に運んで来た、赤紫色の死体の方に歩いて行った。


 あいつ……いったい何をするつもりなんだ……?




 「よく視ていろ! これが害虫の末路だ! ほらほらほらほらほらほらほらほら! フハハハハハハハハハハハハハ!」




 目の前で──ジェイトはその人間の死体達を、まるでゴミを踏み潰すように……。


 病的に嗤いながら何度も……何度も……何度も何度も何度も何度も踏み潰し続けている。



 人間を……人間を……何だと思っていやがるんだ……あいつは!



 そして、人間の姿をしていたモノ達が、どんどん血肉の塊になって、ジェイトの周りはむごたらしい血の沼のようになった。



 僕はそれを見せられて、思わず眼を背けてしまった──だが。


 心絵を見ると、そんなモノを見せられても、まゆ一つ動かしてはいない。



 このジェイトにもそうだが、無言で平然とそれを直視して、止めようともしない心絵にも怒りを感じた。


 怒りの気持ちは、言葉になり、気がついたら心絵に発していた。




 「おい心絵……! お前は、あんなモノを見せられて……なんで平然としていられるんだよ。陰陽師にとっては、あれが普通の光景なのか? 死体とは言え……人間があんな風に……酷い目にわされて……なんとも思わねえのかよ……!」




 それは、本当なら、僕が強ければ止められるのに、それができない自分の非力さを痛感した、自分自身に対する怒りだったのだろう。


 けれども、その感情を、あろうことか女の子にぶつけてしまった。



 僕は──最低な奴だ……!


 クソ……クソ……クソ……クソ……畜生……!


 なにもできない自分に……いきどおりが収まらない……。




 「もしアナタが逆に、あの光景を見て平然としていたなら。私がアナタを殴ってるわよ。それに、あんな奴を目の前にして感情をき出しになんてしたら、精神力が乱れて私たちはすぐに殺されるわ。殺気も尋常じんじょうでは無いし、相当の手練てだれよ。まばたき一つの間でも気を抜いたら……られる」




 心絵の、その台詞せりふを聞いて、我に返った。


 怒りの感情と闘っていたのは心絵も同じだったのだ。




 「よく理解しているではないか。この無価値で下らない『側の世界』の能力者よ。そこの善人ぶった、偽善ぎぜんで無力な取るに足らん害虫とは、少し違うみたいだな」




 ジェイトは、死体を踏み潰す行為をやめると、僕と心絵を血走った瞳で睨みつけながら語り始めた。




 「この俺が、この世で最もツバを吐き捨てたくなる奴は、力無き言葉だけの偽善者だ! つまり貴様に言ってるんだよ! この善人ぶった偽善で無力な害虫が! 貴様ら害虫には分からないだろうが、言葉だけでは誰一人として救うことはできんのだ! 力が無ければ、たった一人の大事な人さえ守れ無いんだよ……この間抜けが! 一つだけ最後に教えてやろう。偽善者とは世界の秩序ちつじょを乱し、むしばむ害虫そのものだ。その偽善者と一緒にいる貴様も同じだ! 一匹残らず駆虫くちゅうせねばなあああ!」




 ジェイトの言葉には、憎悪の中に──底知れない悲しみのような物が混じっているように聞こえたが、僕の思い過ごしだろうか。


 それに……ジェイトは僕を偽善者だと言った……。



 確かに、あいつにとって僕は、何も変えることができない、ただの口先だけの綺麗ごとを言う偽善者なのかもしれない。


 けれど……だけど……ただの綺麗ごとだとしても……僕は……人間だ!



 いくら偽善者だと言われようが、いくら無力な害虫だと言われようが、僕は人間として……人として……この人間を人間とも思っていないジェイトに対する怒りの気持ちは……本物だ。



 強い奴が善で、弱い奴が偽善なら、間違いなく……この場で僕は偽善なのだろう。


 別に国や世界を変えたいなどとは思わないし、そんな事を言う人間は、少なからず僕も偽善者だと思ってしまう所がある。



 でも……例え偽善だと思われても……僕の目の前で人間をゴミのように扱う、こいつに対しての怒りの感情と、その言葉は……いつわりの無い僕の本心なのだ。


 


 ────ん?


 なんだ?



 ジェイトの両腕が……ドロドロに溶けて……水みたいな液状の腕になっているぞ。


 それに──両腕から何やら、白い煙のような物が出ているが……。



 ────え?



 そのジェイトの、ドロドロに溶けた両腕から水滴が垂れて、コンクリートの床に落ちると、白い煙を上げながらコンクリートの床が突然溶け、五十センチほどのクレーターのようになっている。




 「アナタ……。あの煙を吸い込んだら駄目よ。分かった?」




 言うなり、心絵の周囲から、巨大な扇風機かと思うほどの風が巻き起こった。




 「気が変わったぞ──貴様の能力の観察はもうやめだ! この無価値で下らない『側の世界』の能力者よ。貴様もそこの、偽善で無力な取るに足らない害虫と一緒に死ねえええ!」



 「うわあああ! ジェイトさん脱抑制だつよくせい状態になっちゃってるよおおお! こんな場所で『エビル・アーム』なんて使われたら、『ガルズ』に戻る前にボキ達も死んじゃうよ! あれ? それよりも、何で【ピース・アニマ】の防御壁ぼうぎょへきがあるのに、この工場にあいつらは侵入できたんだ? っぱ?」



 「ししし、侵入されたのは後で考えて下さい! そそそ、そんな事よりもまずいですよ! たたた、タルマさんは能力で毒や毒臭どくしゅうに耐性がありますが私は無いんです! ははは、早く『ダスト』でガスマスクをつくって下さい!」



 「あっ! そうだった! ちょっと待って下さいホラキさん! すぐに創ります! 『クリーン・ダスト』! っぱ!」



 「あああ、ありがとう御座います。プシュー。たたた、タルマさんが居たおかげで助かりました。プシュー」




 あの白衣を着た二人は、何をそんなに慌てているのだろうか。


 と言うか──何で『ほらき』と呼ばれている人が、ガスマスクを装着しているんだ?




 「フハハハハハハハハハ! なんの役にも立たぬ、ゴミクズ以下の無力な害虫どもよ! 骨も血肉も残さず鏖殺おうさつしてやるぞ! 『ファントム』!」




 ッ!?


 あいつ、また突然消えたぞ!






 「フハハハハハハハハハハハハハ!


             ナマっちろい硫酸りゅうさんなんかとは訳が違うぞ!


               この『エビル・アーム』は超強酸ちょうきょうさんだ!


   ほんの一瞬でもれたら最後!


                             骨も残さず!


       血肉を腐食ふしょくさせ!


                      溶かし尽くしてやるぞ!


               この害虫があああ!」







 ジェイトの姿は視えないが、上から声が聞こえる。


 きっと、あの紅い翼で飛びながら喋っているのだろう。


 しかも四方八方から声が聞こえる。



 つまり、高速で移動しているということか。


 ていうか──硫酸を『ナマっちろい』と言っていたから、きっとアレは硫酸よりもヤバい、何かの酸なのだろう。



 まいったぞ……姿が視えないから、きっと心絵もけるのは無理だ。


 ましてや、心絵や灰玄のような陰陽師では無い、なんの力も持っていない僕が避けるのは、絶対無理に決まっている。






 「触れなければ安全だなんて思うな!


               ちょいとでもこの『エビル・アーム』の!



     超強酸ちょうきょうさんしゅういだだけで!


    肉体は瞬時に憔悴しょうすいし!


                        貴様らの息の根を止め!


   死にいたらしめるのだ!


                フハハハハハハハハハハハハハ!」







 ジェイトが姿を消して、高らかに嗤う中で突然──


 携帯電話のような電子音が大音量で鳴り響いた。



 いったい誰の携帯電話の音だ?



 僕は自分の携帯電話をマナーモードにしているので、僕では無いことは確かだが。





         「チッ!        

                『ブレイク』!」





 今まで姿が消えていたジェイトが、突然姿を現した。


 丁度、僕の真上である。


 危なかった……。


 もし携帯電話の電子音が鳴り響かなかったら、完全に僕は殺されていたぞ。


 


 と言うか──ドロドロに溶けていたジェイトの両腕は、元の普通の両腕に戻っていた。


 そして、ジェイトは手に何かを持っているが……電子音は、その手の中から鳴り響いている。

 


 あいつの携帯電話の電子音だったのか。


 それにしても、奇妙な携帯電話である。



 見た目がまるで──いや、まるでと言うか、まさにリップスティックにしか見えない。


 色は黒である。


 いや、色の前に、あんな小型の携帯電話なんて、売っているのだろうか。

 




          「ん? スペイドからか」





 言って、ジェイトはコンクリートの天井近くまで飛行し、そこで止まると、小声でリップスティックにしか見えない携帯電話で、会話を始めた。



 その会話は十秒も無かった。


 用件だけ伝える為の会話、といった感じである。



 だが、その会話が終わると、猛スピードで『ほらき』と呼ばれている、白衣を着た男性の所まで飛んで行った。




 「よろこべホラキ! 貴様の実験は成功したぞ! 【パープル】でも破壊できなかった、あの強力な拘束具こうそくぐを、いとも簡単に破壊したとスペイドが言っていた。これで【パープル】よりも強い戦力が増えると言うわけだ! フハハハハハハハハハ!」



 「そそそ、そうですか。プシュー。よよよ、よかったです。プシュー」



 「ん? なぜ貴様はガスマスクを装着しているのだ? まあいい。実験は成功したのだ! フハハハハハハハハハ!」




 ジェイトはまるで、空からお金が降って来たかのように、有頂天うちょうてんになっている。


 悦べと自分で言ったくせに、むしろ悦んでいるのはジェイトの方だ。




 「スペイドが大事な相談があると言っていたから、俺は先に『ホーム』に戻る」




 そう言うと、ジェイトの大きく紅い翼が、みるみるうちに、真っ赤なマントに形を変え、そのマントを自分の肩に羽織はおった。


 なにが……どうなっているんだ?




 「後の害虫の始末は貴様にまかせたぞタルマ。それと、『キング』に伝えておけ。『材料』の調達を急げと。そして──ミタリンもな」



 「あっ。はい。分かりました。っぱ」




 すると、ジェイトは自分のジャケットの中から、透明な野球ボールぐらいの大きさのシャボン玉を取り出した。



 それを自分の手の中で割ると──


 ローザの時と同じく、目がくらむほどの閃光が放たれ──ゆっくりと瞳を開くと、ジェイトは消えていた。



 もしかしたら、また姿を消しているだけで、本当は近くに居るのではと思ったが。


 心絵の表情が微妙に、安心している風に見えたので、ローザと同じく、もうこの場には居ないのだろう。


 多分だけど……。




 「やれやれ……、これだから『乖離種かいりしゅ』は……。っぱ」



 「くくく、口が過ぎますよタルマさん。プシュー」



 「あっ、すいません。その前にボキは非戦闘員なんだけどな……。それにボキの【ゴールデン・ステーション】は戦闘用じゃなくて、防御用の能力なのに……。っぱ」




 あの白衣を着た二人の会話からして……ジェイトが絶対に、ここには居ないというのを、僕は確信した。


 そして、さっきまでずっと、早鐘を打っていた自分の心臓が、だんだんと落ち着いてきたのが分かった。



 ジェイトか……。


 あのローザよりも危なくて、怖くて、殺意の塊みたいな奴だった。


 できることなら、もう二度と会いたく無い!


 いや、絶対に二度と会いたく無い!




 ていうか、【ゴールデン・ステーション】って……。


 何だか、ゲームのハード機みたいな名前だな。



 まあ、でも、そんなことよりもだ。



 こいつらだったら、僕でもダッシュで走れば逃げられるだろう。



 あの『たるま』と呼ばれている人が、ジェイトに『後の始末はまかせた』と、言われていたけれど。


 今、本人の口から、『非戦闘員』という言葉を確かに聞いた。


 非戦闘員。


 つまりは、好戦的な人では無いと言うことだ。




 もう灰玄なんて待っていられるか!


 ローザも消えた!


 ジェイトも消えた!



 逃げるチャンスは今しか無い!

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