第5話 状況証拠


 クルミ…。

 好きだったんだ。


 付き合って欲しい…。


 でも叶わないんだよね…。


 クルミは幸希が好きらしいから。

 クルミと幼馴染で、クルミのことを好きになれて、よかった…。


 ――――――――――――――


「おい…。どう言うことなんだよ…。」


 みんなが屋上に上って下を見下ろす。

 鍵がかけられているため近くに行ってみることはできない。

 そのため屋上から見下ろすことしかできないのだ。


「ねえ…。どうして。なんでこうなるの…。」

 華奈が泣き出す。

「これでわかったのは人狼は俺たちを殺そうとするかもしれない。だから早く人狼を見つけないと。」


 そうだよな…。

 どうして…。


「これで遂に動き出したってことか…。」

 颯太が言う。

「そうだな…。なんとかしないとな…。」

 優希も声が震えている。


 真衣がガシッと俺にしがみついてくる。

 よほど怖いのだろう。

 花をすする音が聞こえる。


「え…。」

 真衣が何か言った気がしたが、初めの文字しか聞こえなかった。


「とにかく…。誰に殺されたのか考えないと…。」

「そうだね…。晴人くんと真衣ちゃんが最初に見つけたんだっけ?」

「ああ。そうだよ。」


 俺たちが第一発見者だ。

 俺たちの前に屋上に向かった人がいるってことか…。


 いや。待てよ…。

 誰かとすれ違ったな…。


「なあ。真衣。俺たち屋上に来る前に誰かとすれ違ったよな。」

「うん…。裕太くん…。」


 真衣の発言で視線が一気に彼の元を向いた。


「やだなあ。俺を疑ってるのか?俺はずっと雄一郎と一緒にいたんだよ?」

「ああ。」

「でも雄一郎くんともすれ違ったよ…。2人がやったんじゃないの!?」


 真衣が熱くなっている。

 そして目からは大粒の涙が溢れていた。


「ただの言いがかりじゃないのか?単なる状況証拠だけだろ。」

「そうだよ。それだけじゃ俺たちが犯人だっていう証拠にはならないんじゃないか?」


 それはそうだ。

 何も言い返せないだろう。


 でもなんとかして証拠を集めないと…。

 このまま被害者が出て、真衣も殺されたりなんかしたら…。


 いやいや。それだけじゃない。

 ここにいるのはみんな友達だ。

 裕太も雄一郎も友達だけど今はそんなこと言ってられない。


 状況証拠であっても確実に2人はココネと康介を殺している。

 どうすればいいんだ…。


 そう上を見上げたときだった。


 俺の目線の片端には防犯カメラが映った。


「なあ。なんとかしてあの防犯カメラ見れないか。」

「確かに!あれに映っていたら決定的だもんな。」

「でもどうやって。」


 また壁にぶつかりそうになった時だった。


 春乃が口を開く。


「そういえば三階に管理室みたいなのあったよ…。」

「まじか…。行くぞ。」


 2人とも覚悟しろ…。ここからすぐに出てやる。

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リアル人狼ゲーム ひろまる @hiromaru0722

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