第2話 ゲームスタート


 絵里…。絵里…。絵里…。

 なんでなの…。なんか言ってよ…。

 なんか相談してよ…。


 どうして私に何も言わないで死んじゃうの。


 私にできることならなんでもしてあげられたのに…。


 ――――――――――――――――


「さあ今からリアル人狼ゲームが開催するわ。」

「リアル人狼ゲーム…?」

「そんなもんやってどうするのよ…。」


 本当にそうだ。

 そんなもん俺たちがやってどうするんだ?


 あ…もしかして大金がもらえるとか…?

 それなら夢があるじゃねえか。

 やってやろうじゃねえかよ。


「おい。勝ったら大金がもらえるんだろ…?」

「いえ。ありません。」

「はあん…?」


 なんだよそれ。

 じゃあやる意味ねえじゃん。


「じゃあ勝ったらどうなるんのよ。」

 真衣が聞く

「このゲームが終われば、あなたは大事な何かを見つけることができるでしょう。」


 なんだそれ。

 大事なこと…?

 そんなことあるか?


 夜は出歩くなよーとか。好き嫌いするなよー。とか?

 そんなん小学生でもわかるわ。


 じゃあなんだ大事なことって。


「で、どうしたら勝ちなの…?」

 真衣が聞く

「それはですねえ。ここから人狼を見つけ出すか、あなたが集められた真相を突き止めることができれば勝ちです。」

「そしたら大事なことがわかるのか?」

 今度は優希が口を開く

「ええ。大事な何かがね…。いや人によっては悪夢かも…。ね。」


 この女はさっきから不気味な声で笑っている。

 ボイスチェンジャーを使っているから余計にそう感じてしまう。


 大事な何かと。悪夢。

 なんだろうこれ。すごい変な予感がするが今は気にしないでおこう。


「今から30分協議をしてもらい、その後投票。そして夜の時間。その繰り返し。この部屋は出ていいがこの建物からは出ることができないようになっている。」

「じゃあ外に何かヒントが…?」

「さあ。それはみんなで考えてみたらどうかしら。」


 この部屋からは出ていいなんて結構自由なんだな。

 でも…。早く帰りたい…。

 とっとと終わらせよう。

 春乃も何か用事があるらしいし…。


「もう全部か?」

「ええ。伝えたいことは全て伝えました。」

「一個質問していいか。」

 ここまで黙っていた裕太が口を開く。

「いいよ。」

「人狼は何人いるんだ?」

「さあ。それは教えられません。」


 裕太の割にはいい質問をしたがはぐらかされてしまった。


「まあいい。もう始めようぜ。」


「ええ。ではゲームスタート。」

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