第11話「灼熱の港にて足跡を告げる」

目を開けると目の前には異世界が広がっていた




鼻からは砂が入り込みそうになるし、

目からは暑さのせいだろうか布の面積が少ない服を着た者たち。

また口からは興奮が飛び出しそうになっていた


目の前に広がる異世界とでも言うのだろうか。私達がいる場所を囲うように大きな柱が建てられ、その間を沿って川のようなものができていた。


柱と柱との間に天井があるおかげか体感的にはそこまで暑くない。日本と違って蒸し暑い!

というよりかはスッキリとした暑さだ。


「ここ。港かな?」


「んー僕的はそう思うよ。アリスはどう?」


いつ下の名前で呼んで良いって許可したんだ。


「ああ。ほら目の前から大きな貨物船が来ているあたりそうなんだろう。周りの人達も何かを忙しく運んでいるようだし」


あれは...奴隷だろうか。やはり明らかに服装が制限されすぎている。これを見ると昔の時代なのだなと実感する。


「僕お腹空いちゃった⭐︎食べ物探してくるね」


「青嶺くん!一人で行ったら危ないよ〜」


こうして私は一人か。では私は私なりに色々と探ろう。


を。



大通りに出ると露店と道行く人々の交渉の熱さも相まって気温はかなり高く感じる。

みんな活気がすごい。

ここは中心街のようで多くの旅人らしきが

「もっと安くしろ!」とせがんでいる。

だが商人も商人で命がかかっているのだ。

どんな品だろうが最高級の物を謳う


ああちなみに悪魔と契約した場合、どんな言語も話せるという特典付きだった。まるで秘密d


「ちょっとお嬢さん。今着ているその服では

暑いのでは?」


後ろから声をかけられる。声をかけた人物は

頭から白い布を被っているせいであまりよく顔が見えない。


「生憎お金は持ってないんだ。だからあんたの客にはなれないね。」


「お金はいらないさ。出世払いではどうかな?」


怪し過ぎる。怪しさ満点。


「なんの出世払いだよ」


「それは...俺の勘が言ってるんだ。この子は

面白いってね。」


「喧嘩うってんの?」


「いやいや。まさかね。」


いきなり場が静まり返る。道を歩いていたラクダさえ動きを止めている。何が起きている?


「お嬢ちゃん。動かないで、が来る。今すぐ座り込むんだ。そして手を前に差し出したまま。」


目の前からは何やら大名行列のようなものが

来ている。黒色と金色が織り混ざった服装の者たち。何やら冠みたいなのをかけている。


「あれがここの国の王様なのか?」


「しー!!まさか!あれはハネスの神官団さ。王亡き後、事実上この国を取り締まっているね。そろそろ...無駄話はよそうか。」


ラクダの上に乗った明らかに偉そうな人達。

それに横のラクダが乗せているのは籠か?

神のごがありますようにって?


ん、あれ籠に入れられてるの青嶺と坂倉?!

何やってんだよあの二人。早速捕まってんのか昔の私みたいだ。


今は流石に助けれなさそうだ。隙を狙って助けるしかない。

なぜなら横に堂々と立っている武装した人々が多いしガタイが良すぎる。もしここで狙われるとなったら命は無いだろうな。


「アリスー!!!なんか特別な歓迎されてる」


馬鹿すぎる。青嶺はバカすぎる。


「そっちじゃないよ!こっちの方向!青崎さんがいるのは!」


二人揃って馬鹿すぎる。指まで刺して私の所在地を明かしますか?普通


「...お嬢ちゃん。ついてきな。」


私は彼を追ってひたすら走りまくる。耳の横を槍がかすめたりしたと思うが大丈夫なはずだ。ピアスの穴くらい開けている。


「こっちの角!」


複雑に入り組んだ民家を通り抜ける。右に曲がって、次は左に、はたまたま斜めに...まるで

迷宮だ。


「さぁ。ここに入って」


私は彼が指し示す扉にはいる。ただの物置きだが二人分のスペースはあるだろう。


「道中干してあった服を借りてきた。ぜひ

着るといい。バレにくくなるだろう。俺は

後ろ向いておくから大丈夫だ。」


赤の他人の前で服を脱ぐのは気が引けるが

バレにくくなる。これには同意だ。


「やっぱり似合っているね。君は何処から来た人かい?」


頭の布を外した彼の髪型はセンターパートであり、顔立ちからどこかの貴族のようだった。


「遠いところから。あんたはなんで私を助けた?どこから来た?」


「俺も同じく遠くてさらに貧しい国からさ。

助けた理由?言っただろう?出世払いって。」


「出世払いじゃ抽象的過ぎるんだがな。」


「じゃあこの国を助けてあげてよ。俺もこの国には思い入れがあるんだ。とりあえずもう

大丈夫だろう。ついてきて」



民家を抜けると少し先ほどより見窄みすぼらしい町にでる。


「あら〜おかえなさい!お客様も!」


気前の良い女が話しかけてくる。同い年よりかは少し年上だろうか。


「ああ。ただいま。この人はソルさん。俺は

この人の家にお世話になっている。」


「私は青崎 アリス」


「珍しい名前ね。よろしく!貴女も旅人で

あってるかしら?」


旅人という体の方が楽だろう。事実学園からの命令がなければ旅行していたところだ。


「ああ。」


「なら空いている家があるからそこに案内するね!」


歩いてみると実際に活気が少ない。何かに吸い取られているみたいな気味の悪さがここには

あった。


「何故その家は空いている?」


「帰ってこないと思うから...かな?」


「この町に何かあったのか?」


「最近きた旅人さんなんだね。王様が亡くなってから元々大きな権力を持っていた神官団は

王様が禁じた神を生き帰らそうとしているみたいで...名前はハネスって言うんだけど」


「それがここの町と何か関係があるのか?」


「町っていうより人かな?連れ去らられるんだ。定期的に。何されているのか分からない。

男女関係なくね。」


「抵抗はしないのか?」


「出来ない。したらすぐに殺されてしまう...

でも今は違うんだ。私は立ちあがろうと思う。

この町の人のために。抵抗する。

ハネス神官団がハネスを甦らさないように

必ず私が阻止する。これが私の夢かな」


「立派な夢だな。」


「ありがとう!貴女は...協力してくれない?」


「生憎私の仲間がそいつらに捕まっている上

下手に動けない身でね。悪いが断らせてもらう」


「それはないんじゃないかな?」


後ろからあの男が近づいてくる。


「なにが?」




「忘れてくれちゃ困るよ。



まぁいい。今のところこの世界から消すべき人物はそこにいそうだ。味方が増えるのは

悪くないだろう。


「分かった。その代わり超過した分はしっかりと私に返せよ」










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