序章

太陽は崩れ堕ちない

第10話「行き先は別世界」

私と坂倉、それに何故か青嶺とある場所にいた


校外学習から帰ってきた私達は休む暇なくこうして校長室へ連れてこられている。


坂倉は不安そうな表情をしながらチラチラと

こちらを見てくる。


「わ、私達大丈夫かな...特別指導とか、最悪

退学とかはないよね...」


「そんなことはないはずだ。多分。こいつが

この場にいなければな。」


私は青嶺に視線をやる。視線の先の彼は

照れくさそうにしている。そういうのじゃない


「別に感謝はいらないよ...」


「感謝なんかするか!何者かもよく分かってないのに。そもそも元天使と契約したやつが

良くここは入れたな。」


「まぁ。僕も君達と同じようなものだし」


坂倉がぼそっと


「一緒にされたくない...」


同感だ。さっさとこの部屋から出たい。いや

もう出よう。


「私はもう出る。いつまで経ってもこな...」


目の前には校長が立っていた。


「もし君が椅子というものを知っているなら

話は早い。座れ。知らないなら...地べたに犬のように座るといい。」


ほんっとむかつくジジイだ。真っ直ぐに物事を言えないあたり終わってる。


「諸君に集まってもらったのは他でもないー。そうそう。君達が特別だからさ。よく天使を見つけたね。あ、君のことじゃないからね。」


「そんなー僕に感謝は入りませんよー」


この二人の会話は地獄だな。


「で、学園側としては本来取らない処置を

取ろうと思う。」


処置と聞いた瞬間、坂倉は椅子から飛び上がる


「ひいいいいぃ」


もう一つの人格出せよ...そっちの方が早いだろ


「処置といっても痛い目に会うわけでは...まぁどうかな?とにかく。君達は他の生徒達より

はやく実務を行ってもらおうという話に

なったんだ。」


「実務?」


「ああ。言われただろう?堕天使様の命によって私達は行動するって。そこで命を君たち、

三人にやってもらいたい。」


「なんだ?足でも舐めたら良いのか?」


「もう靴は磨かれているから大丈夫さ。

君達には別世界に行ってもらおう。そうだな。こちらの時代で言えば紀元前1300年代

あたりかな?」


「場所は?」


彼はゆっくりと前にある机に世界地図を

広げる。


「エジプトさ」


紀元前1300年代でエジプト...新王国ぐらい

だろうか。あまり覚えていないが。


「おっと、別世界なんだ。前提知識は何も

いらないさ。君達がやることは世界を乱している人物を倒して帰ってくること。

あ、ちなみに別世界は魔法が盛んだからね。気をつけてくれよ。」


魔法も何もまだ教わっていないのにどうすれば

いいんだ。それに"世界を乱している人物"

って抽象的過ぎないか?


「倒すべき人物がそれじゃあ分かりづらい」


「安心してくれ。身体のどこかに紋章がある

はずだから。それ以外で質問はあるかな?」


坂倉がおそるおそる手を挙げる。


「私、魔法何も知らないのだけれど...」


「僕がいるから大丈夫だよ?」


「お前は黙っとけ、青嶺。」


校長はニヤニヤしながら坂倉を見つめている。まるでその質問を待ってました!という感じだ


「実戦経験を積んだら自然と出来るようになっているはずさ。自然と覚えるから気楽に。」


「他に注意点はあるのか?」


「ああ。死ぬな。命を遂行させろ。あとはー

には気をつけた方が良いだろう。あいつらは魔法少女ですら襲ってくる。」


なぜそれが別世界にいるのか、聞きたかったが早くこの部屋を出たい。

まだマシな担任にでも聞くか。


「good luck!! every one!!」






学園の中庭には大きな扉が存在していた。黒い鉄で出来ていて鎖が至る所にぶら下がっている。


「さぁお前らここを通れば目的地の別世界に着くはずだ。」


担任はそう言って私達を無理やり押してくれる


「待ってください。帰り方は?」


担任は青嶺が嫌いなようだ。無視をして押し続けてくる。


「ま、まってください!先生。帰り方知らないと私達帰って来れない!」


「安心しろ。迎えにいく」


坂倉はお気に入りですか。


「何かあったらこの笛を使え、これを鳴らせば

学園側からも聞こえる」



そろそろ行くしかないようだ。私は担任に笑みを見せながら二人を蹴り飛ばして扉に放り込む


「...怖くないのか」


「ちっとも。あんたの年齢の方が怖そうだ」




私は逃げるように扉に入って行った。

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