第9話「十字な僕に標準を合わせてくれないか」

間宮が天使だという突然の告白に一同は

揺さぶられ、その場にいた担任は急いで攻撃

体制をとる。


「天使と契約した魔法少女とでも...

言いましょうか。

貴女達は将来罪人となる可能性のある人物を消すために一部の人は動くと聞いていたの。

まさかそれが同じ魔法少女にまでとは知らなかったけれども。

直接だと大変だからルールに乗っ取って私達だけは消そうとしたんだよね?」


間宮は襟を掴まれながら静かに笑い続ける


「凄いね〜。びっくりしちゃった。こんな人物達がいるなんて〜。

でも恨まないでね。私も頼まれた側だから。

おっと。先生、私を攻撃しようとしても無駄だよ?本体はにあるから。だから交戦なしのルールに乗っ取って消そうとしたの。」


「私も、有名人か。」


「ええ。とっても。」


担任が一瞬の隙に首元にナイフを飛ばすが

貫通する。


「無駄だよ?バレたならしょうがないね。でも何人かは消せたし。上場かな?」


「あんたも悪魔の才能あるぜ」


「やめてよ〜。私はみんなの憧れだから」


廊下からゆっくりとした足音が近づいてくる。なんだこの音。周りを落ち着かせている、いや黙らしていると言ってもいい。

煙を出さない蚊取り線香のようだ。


「あら〜貴方が迎えに来るなんて。珍しいじゃない。青嶺あおみね りん。」


そう呼ばれる人物は独特な雰囲気を放ちつつ 片手を刀を添える。

担任はそれを見るなりナイフを取り出す。私と坂倉は武器はないが戦闘体制を取る。


彼は指を交差させ


「第三。剥奪の犬神」


間宮の真後ろに位置する壁から狼のようなものが口を大きく広げて噛みつこうとする。

それを間一髪で間宮は避ける


「どういうことかな〜?それにその技は

よね?」


狼のようなものは大人の女性の姿に戻る。

そして青嶺と呼ばれる人物はその女性の頭を優しく撫で、手から吸い込む。


誰もが呆気に取られていた次の瞬間、



間宮は血反吐を吐きながら彼を睨みつけ、静かな声で呟く。


「ぐっ...これは裏切りってことで良いのかしら?」


彼はゆっくりと微笑を浮かべながら呟く。


「そうだね。さっさと上の者に報告すると良い。僕はもうとっくに使だよ。」







〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜








小鳥の囀りさえずりが花畑を響き渡らせる。太陽は花達を照らし虫たちは花を運ぶ。

もし人間がここに来れば天国と勘違いするだろう。かくいう僕もここを天国だと実感している


僕の名前は青嶺 凛 半年前に天使に選ばれて

魔法少女となり、ここで過ごしている。僕の役割としては怪物を倒すこと。

それなりに楽しくやらせてもらっているし

周りは良い人しか存在していない。


週に一度、怪物が街を襲うのを救い、魔法少女としてみんなの憧れの的となる。

だけど僕は男なんだ。昔から可愛いらしい容姿をして生まれてきたから両親も女の子だと

思っていたほどにね。


今は大学生で一人暮らしをしている中、

魔法少女をやらしてもらっている。給料が

出たりするわけではないけど衣食住も支給され

世界平和に貢献していると考えれば最高に違いない。


僕が言うのもなんだけれども...

才能も、環境も、両親からの愛情も十分に

備わっていると思う。


だけど僕には足りなかった


それを僕は知ることになる。


月に一度。指名手配される者たちがいる。

怪物とは別に人間を相手に行っている。

汚れ仕事ではなく、ただ捕らえて更生させることが目的だ。もし捕えられなかった場合は

汚れるしかないけども。


僕は決して汚れることはしない。みんなを

救い、平和を求める。これが僕の動力だよ。


でも運が悪かったのか良かったのか出会ってしまった。指名手配された彼女青崎 アリスに。


こんなにも美しい人がいるとは知らなかった。

ここ、天国と代替えできるぐらいだ。僕は

彼女を探すことを占有させてくれないか上に

頼み込んだ。だがさせてもらえなかった。


だから単独で空いている時間に彼女を追い続けた。大学にも行かなくなってしまったが周りの人間からの助けがあればなんとかなる。


彼女はこう、爆発的だった。僕にないものを

持っている。それに賢い。ただ僕と彼女を離れさせているのは悪魔と天使だった。


彼女は悪魔と契約し、僕は天使と契約している

彼女に近づこうにも僕の中の天使が許してくれない。こんなにも近づきたいのに。




だから僕は






彼女が京都へ行くと聞いて誰にも告げずに先回りする。彼女を守ろうと思って。

僕にとって今の動力は彼女を守る、過ごすことだ。それほどまでに僕は


僕は彼女が来る洋館までの道中お寺に立ち寄るとある老人に出会う。

なぜ立ち止まったのか分からない。けどこれが運命なのだろう。

その老人は薄い布を体に巻いており、杖をついて後ろから近づいてくる。


「わしはもう、長くない。それにお主は...もう自由じゃろ?わしの後を引き継いで欲しい。」


最初は僧侶か何かだと思い、断りつつ立ち去ろうとするがある言葉を聞いて動きが止まった


「あの子と一緒になりたいじゃろ?」


なぜ彼女のことを知っている?いいやはったり

に違いない。私は止めていた足を動かそうとすると


「青崎 アリス。彼女は魔法少女らしいのぉ。悪魔と契約してるみたいじゃが」


「なぜそこまで知っているのですか?貴方は何者なのです?」


「わしは...を極めただけの者。それをお主に受け継いで欲しい。さすれば彼女と過ごせる」


「...悪魔と契約しろということですか?」


「いいや。わしは悪魔なんかじゃない。ただ

ちと評判は悪くてな。この身体も、もたんし。頼れるものもおらんくてな。」


「何が悪いのですか?」


「わしの可愛い可愛いを飼ってはくれないか?お主の体に。」


「体の中に飼う?」


「そうじゃ。簡単に言えば契約じゃの。」


「...そうすれば彼女の側に入れるのですか」


「あぁ。堕ちることになるがな。それでも良いのなら。を食え。」


差し出されたものは何者かの目ん玉だった。

赤い目をしたそれは僕の目を見続けている。


僕は...彼女のために行きたい。例え地獄行きになろうと。




僕はそれを



体中に痛みが電撃のように走り回る。顔が、体が溶けそうだ。

僕はその場で悶え苦しむ。もしかしたら騙されたのではないか。後悔した。

だが彼は騙していなかった。なぜなら目の前に黒龍が現れていた。


「お主が...新たなる契約者か...」


感じたことのない強烈なオーラが僕の髪の毛

一本一本を通り抜ける。


「そうさ。僕が新しい契約者さ」


「忘れるな。我は悪龍。定期的に人間を仕えさせろ。そして生命の流れを取り込め」





目が覚めるとあの老人はいなくなっていた。

人間を仕えさせろ、とはどういう意味なのか。よく分からなかったが



仲の良い女友達が京都にいたことを思い出す。



僕は彼女の家に向かった。


「久しぶり〜!いきなり会いたいなんて

びっくりしたんだけど...」


人間を仕えさせる。よくわからないが

僕は人間をコントロールするとき、服従させるときは恋愛を使う。惚れさせて僕のものにする


僕は玄関から部屋に入るなり彼女を押し倒し、接吻をする。


「僕のものにならない?」


彼女は僕に惚れている。これで僕のものになったはずだ。


すると目の前にまた黒龍が現れる。


「それでいい...人間は養分になる他、刀や槍としても使えるのだ...そやつを犬神だと思い、変化させろ。さすれば強力な力となるだろう。」





〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜





ようやく彼女に会うことができた。青崎 アリス、君にだ。間宮とは仲が良かったが彼女を消そうとしていたから残念だけどバイバイかな。


間宮は僕に刺された影響で倒れ込む。そして

キラキラと光って飛びっていく。


「あんた、私の味方なのか?」


ああ。彼女の声だ。なんで落ち着く声なんだろう。聞き惚れてしまいそうだ。


「そうさ。僕は君のために生まれてきたんだ」


そう。僕は君のため。僕と君はこれから

色んな人に狙われるだろうね。


僕は十字線に囲まれ続ける。


そんな僕を君は連れ出してくれ。


そして終わりは一緒。


君は貼り付けになった僕に標準を合わせてくれれば良い。


君が寂しい時は僕が待っているから。






「これからよろしくね。アリスさん」





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