第一章 魔女
第3話 ガキ
着ている服などからして、ここに住んでいるのであろう。服が少し破けているが、お構いなし。だが、顔立ちは整っており長く綺麗な金髪が後ろで結ばれている。
この年でこの髪色ではだいぶ目立つと思うがこの世界では普通なのだろうか、獣人がいる時点で何でもありだとは思っていたが元の世界の一般常識は通じないのかもしれない。
この世界は貧民でも可愛いという事が分かった。
ハーレムライフは完全には終わっていないようだな。
「……なんだよガキ。男だって知らないところに来たら助けを求めるんだよ」
「誰がガキだよ!? 一応これ でもアタシは十は越えてるんだからな!」
いや、ガキだろ。というか、十才の子供がこんなところに居るってことは、あんまり良くない国に来ちゃったようだな……
現代知識を使って無双するほどの知力はあいにく持ち合わせていない。こんな事になるならば火薬の使い方とかは知っておけば良かったなど元の世界でしっかりしておけばと思う。
「おい、お前さっき『知らないところ』って言ってたよな? もしかして奴隷で捨てられたのか? にしては……傷はないみたいだが。」
今いる場所からして治安とか社会構成もやばいんだろうなとは思ってたけど、奴隷までいるところに来ちゃうとは……絶望的すぎる。転生者とか高値で売れるんだろうな。
異世界転生はチート能力を持って生まれるのが王道なため正直甘く見ていた。現状況を把握しこの世界を考察する。日常スローライフも描けそうにない。
「別に俺は奴隷じゃねーよ。ただ、……気が付いたらここに居たんだよ」
「まぁ、捨てられたんだな。ドンマイ、ドンマイ! 強く生きなよ!」
なんだこのガキは。煽りに来たのか? こっちは急に飛ばされてこっちに来ちまって頭に来てるんだぞ。茶化されるだけならもう行くか。
少しずつ苛立ちを覚えてくる。この状況を打破する力も無ければ助けを求める相手もいない。お人好しヒロインが助けに来ないのはおかしい。
「けど、捨てられちまったのは可哀そうだしな。アタシがこの辺りを教えてやってもいいぞ?」
この言葉で一気に気持ちが晴れる。さっきまでの苛立ちも、コイツに対する不満もすべてが消える。手のひら返しも良い所だ。自分でも心底思う。
しかし、見知らぬ所に一人で行こうものなら、絶対にこの世界の地雷を踏みまくって、いちゃもんつけられて最悪の場合捕まったりするかもしれないが、現地住人と一緒に回れば色々小技的なものまで教えてもらえる。ならば断わる理由がない。
「ぜひ頼む! 助かるぜマジ!」
「分かった。助けてやろう! アタシはテルフォード・クエイよろしくな。」
「俺は
クエイは少し首をかしげた。
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