第4話 襲撃
「――で、気づいたらここに居たのか。なんか信じらんねーな。マコトは死んでも生き返られるんだな」
道中長々と壮絶な一瞬の出来事を聞かせたのにも関わらず、あまりしっかりと伝わってない。
正直まだ理解しがたい。いや、理解はしている。信じがたいと言おうか。まだどこかでここは夢の世界だ。と、思いたい自分がいる。死んだなど考えたくもない。だが、楽しんでいる自分も否定はできない。
「そろそろ中心街だ!」
歩いて行くにつれ人の声が大きくなっていきだんだん活気の溢れる街並みとなってくる。端にはいくつもの商店が品物を広げ見たことない物から地球に会ったものと似ているものまで多種多様にそろえられている。The,異世界と言う感じだ。
街には機械的なものは少なく、車の代わりに謎の大きくなった爬虫類にまたがり移動をしている。無論、元の世界では炎を自分の力で生み出すことなどできないが、この世界ではやはりそういうことが出来るようだ。適性があればの話らしいが……
当たり前のように見たことのない生き物に乗って移動する人たち、人間以外の特徴を持った人間、魔法、文明は全く違う。
「着いた、ここが大都の中心街だ!」
噴水から水が上がり、大層立派なお城が聳え立っている。賑やかな大道りでは少し目を離せばクエイを見失ってしまいそうな程混んでいる。
「スゲー……何か異世界って感じするわ」
「なんかお前たまによくわからんこと言うよな」
一瞬だけ居た、あの場所も城みたいなところだったな……もしかするとあそこに手掛かりがあるかもしれないな。そしてあの謎しかないヒロインも、
「あの城にはどうやって行くんだ?」
「お前本気か!?」
目を見開いて驚いているクエイを見てどこか地雷でも踏んだのかと焦る。確かに城には簡単に入れないとは知っている。
「アタシらみたいな奴じゃ、近づけないよ。アタシはあそこ周辺が嫌いなんだ。最悪殺されちまうぞ?」
それは困るが、その他の道がない。ここでさっきのヒロインに合えれば困ることもないだろう。
「じゃあこっそり近づこうぜ? 何があるかは知らないが、バレなきゃ大丈夫だろ」
「これは、高くつくからな!」
この時金をとられると初めて知った。
――確かに来たくないのも分かる……
路地にはなんか強そうなやつらが待ち構えており、子供と、格闘系をやったことのない俺たちだけではまず、通れないだろう。
だからといって大通りを歩けばゴミを見る目で見ながら通り過ぎる人々。城に近づくにつれ建物も、人も、段々富裕層が増えていく。当たっても謝りもしない。確かに居心地は最悪だ。ここに始めて来たが、もうあんまり通りたくない。
「悪いな。ここまで案内してもらって」
「いいさ。案内料にプラスしておくだけだからな!」
そんなお金は無いぞ? もしやこの場合は高く売られてしまうのではないかと思い、逃げる準備はしておく。
「ほら、行けるのはここまでだ。この先に行きたいなら、塀を超えて行きな。捕まっても知らないけどな」
「捕まりたくはないから、入らないよ」
でも困ったな。これじゃこの中に居るであろうヒロインに会えないぞ?
勇者戦記が書けなくなってしまうと少し焦りながらもこれ以上はどうにもできない諦めはついいてる。本気で勇者になれるとも思っていない。
「で、この後はどうするんだ? 名前とか服装からして、この辺りの人間じゃなさそうだから何か起こるのかと思ってたけど、何も起こらないしな、帰るか?」
収穫はゼロか。まったくこの世界はどうなってるんだよ。ヒロインに合わさてくれよ。
……もしかしてこいつなのか?
「おい。そこで何をしている?」
城の警備の人に声を掛けられる。確かに格好からして怪しい人と間違われても仕方ない。ここは穏便に対処するのが吉だろう。
「いや~何でもありません。失礼しました~」
急いで城を離れようとした時、鐘の音が響く。鐘が聞こえた瞬間、街があわただしくなっていく。段々と人通りが少なくなっていき、城から金属音が聞こえる。門が開き鎧を身にまとった兵士が外に出てくる。
「一体何があったんだよ?」
「分かるだろ? 魔物が来たんだよ!」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます