第18話 終結
――強欲め、復讐の邪魔まで送って来て……あんな強いやつどうしろって言うんですかね……
「――この王座良いな、売ったら何円になるだろうか。」
この声はアイツか、油断しやがって今すぐ殺して、
「使徒様、コイツ起きましたですよ」
不意打ちは無理ですわね……
ゆっくり立ち上がる。強欲の魔女を殺そうとしたのだ、殺される準備は出来ている。すでに足などとうに消し飛んでいる。逃げるなどと考えも思い浮かばない。
「――仲間にならないか? お前も強欲に振り回されて困ってんだろ? 俺も色々あったからさ、気楽にやってかないか?」
「私は強欲の魔女を殺そうと考えてたんですわよ? だから貴方がここに来たのですよね? 使徒でもこの強さ、私じゃ一生勝てない……もう、分かったんですわ。無理だって……」
話がすごい方向に進み、困惑の中遅れて理解する。自分は彼女を殺すために来たと思われている事に。
「あの、殺す気とか全くないよ? 俺はただ住む所とかが無いから来ただけだよ?」
――殺す気は全くなかったのね……きっとさっきの戦いも戯れ程度だったんでしょうね。
「強欲の使徒様。先程は誠に申し訳ございませんでした。私はこの城の管理者ですわ。無礼の謝罪として私、ネクロス・セレーナ、そしてこの城ともご自由にお使いくださいませ。」
「分かった。全てを許そう。今日からは俺の仲間となるのだ! あと、金貨ってどこにある?」
少し驚くことだろう。こうもあっさりと罪を許され、奴隷、下僕ではなく仲間として私も受け入れたこと、重罪人なんかより金貨にしか目がない強欲の使徒。
――私は、なんて人と戦っていたのでしょう。強欲でも良い人は居るのですわね。安心して仲間になれそうですわ。
『
――あっ……
胸元に紋章が刻まれる。アセナの時のように抵抗も苦しんでもいない。少しの間無言で胸に刻まれた紋章を眺め顔を上げたセレーナと目が合う。
「……使徒様の言う仲間とは奴隷を意味していたんですわね。確かに私は強欲の魔女を殺そうとしてましたし、当然ですわね。」
――気まず……!!
「ごめん、オートなんだ。許してくれ。」
「許しませんわよ? 罰として、お金の管理は私がしますわ!」
「えっ!? ちょ、それは困るのだが?オートなんだってどうしようもなかったんだ、お金をくれ! 頼むから!!」
「必要な物は別に買ってもいいんですよ?必要な物は」
「じゃあ、肉をいっぱい買うです! 大量です!」
何故か立場が逆転しているが。新たな仲間と、半壊にした城と、金貨を手に入れた。
***
天井が崩れ月明かりに照らされる中、王座に座る影があった。召喚され殺され、転生し、強欲の使徒となった彼の名は夏川 誠。溢れ出す魔力と不気味に赤く光る目のエフェクトを使い強キャラ感をかもし出す。
「――ここからは、俺の時代だ。」
「仰せのままに使徒様。」
「とりあえず、どこかぶっ潰すのです!」
とりあえず、強欲の魔女を殴ってやるか。聞きたいことも、二人の恨みもあるしな。
「教えてくれ。この国で何があったのかを」
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