第13話 強欲らしく
少し時間はかかったがこっちは片付いた。急いでアセナの助けに入る。
「アセナ! 大丈夫か?」
多少の傷を負っているようだが、戦えている。一方の勇者の方は、
「──武器が槍になってる!?」
剣術に槍術、どちらもその道を極めた様な見事な腕前。この世界に来たからには、武器を取らなくては生きていけない。だからと言ってもおかしい──
「僕には武術の女神の力があるんだよ。だからどんな武器でも使いこなせるってわけ。」
女神……? 知らない力が出てきたな。
「あれ? 知らない? 転生してきたとこの最初に一定以上の力と女神のご加護がもらえると思うんだけどな……魔女の仲間だからか?」
つまり、転生者は皆なんかしらの特殊能力があるというわけか。
俺の場合は最初が転生では無いからだろうか、強欲も十分チートだからいいとして、
「ここは強欲らしく強い能力を解放していきますか。」
解放には条件を満たす必要がある。貰える能力は今必要としているもの。条件もそれによって変わってくる。
今欲しいものはこいつに勝てるだけの何らかの力、いや、もういっそ一気に最強になれる力が欲しいくらいだ。
とりあえず、何かしないと条件解放はできない。いい感じで切り込めば《剣の達人》見たいのでもゲットできるだろう。
甘い考えで突っ込むが功を奏す。
こんな感じでかっこよく……
ただの斬撃過ぎない。だが誠の脳内ではただの一振りにもまるで技を使ったかのような光の斬撃をイメージしている。
──今のところはスローモーション撮影ぽくしてほしいな。
剣をはじかれたときに火花を、避ける時には残像を。せっかくの異世界だド派手にやりたいもんだ。
『条件を満たしました。強欲のスキルが発動。
なんかゲットしたぞ!? きっとこいつにも勝てる能力をゲットしたんだな?
「──ここからは本気で行くぞ?」
そう言い放った瞬間、誠の周りに強いオーラが漂い始める。アセナの尻尾も逆立ち、危険な空気を漂わせる。
一歩前に出ただけのこと。それだけにあれほど身を震わせ警戒する。
「そんな力残してたんだ……ハハッ……」
当の本人もこの能力の影響は受けるため、突如周りにオーラが現れ本人も心境舞い上がっている。
踏み込み、大きく間合いを詰める。踏み込んだ地面は大きく凹み、風を切り、今までとは比にならない速さが出る。
実際のところは《オーバーアクション》による凹み、《オーバーエフェクト》による風を切っているように見える幻覚と思考鈍化が発動し速く見えているだけであり、スピードは先ほどと同じである。
──速い!! 槍では追いつけない。なら、
大きく後ろに回避し、槍が変形し双剣となる。
負けじと勇者も前に出る。ぶつかり合う剣から火花が飛び散る。双剣による連撃により傷を負う。このままケリをつけようと更なる連撃を受けオーラも薄れていく。
さすがに強いな勇者は、これでも勝てないのか?
「本気って言うのもこんなものか? もうボロボロで死にそうだぜ?」
「──まだまだこれからだし……」
もう一度大きく踏み込み距離を詰める。
──さっきよりスピードが出てない……! あのオーラが出てきた時はどうなるかと思ったがいける!
カウンター。踏み込んだ一突きを流され、大きく切り裂かれる。
「使徒様……!!」
アセナが飛び出し応戦するが、アセナでは決め手にはならない。
やべーぞ……負けちまう。また序盤で死にそうになってるよ。
「さてと、起死回生と行こうか。」
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