第11話 契約
「……アセナ捕まったですか!? 使徒様6人殺したですか!?」
「あぁ、それでだな。奴隷商からお前を買い上げるための金はない。強く生きてくれ。」
「使徒様!? 置いてくですか!? これからは落ちてる焼けた肉は食わないですから! 使徒様~!」
からかうのはこの辺にしておいて、いくらぐらいの値段になることか……最悪殺して強奪するが、勝てたとしても瀕死になるしな、この国から逃げる体力は無いだろうな。
「……使徒とは、どこぞの魔女の配下ですかね?」
「一応強欲の魔女の使徒とは呼ばれている。力とかは使えるけど強欲の魔女に会ったことは無いからな、勝手に任命されたって感じだな」
「……では、一つ証明をいただきたい。その黒狼族の奴隷紋を消してみていただきますか?強欲の使徒様の恨みはこちらとしてはあまり買いたくありませんからね。」
……どうやって消すの? てかこいつ、アセナに奴隷紋つけやがったのか? 俺の仲間に何してんだよ!? 十分恨むよ?
「良いだろう。この奴隷紋を消せたら、アセナを返してくれるということでいいな?」
「もちろんでございます。」
と、言ってもやり方は分からない。正式な消す方法はあるのだろうが、もちろん知るわけもない。
──どうにかしてアセナを奪いかいさないと……
『条件を満たしました。強欲のスキルが発動。
承認服従? わざわざ承認が必要なのか? めんどくさいが、今一番欲しい能力だ!
「アセナ、俺に服従しろ!!」
「……ふぇ?」
何とも腑抜けた返事。それもそうだろう、急に服従しろなど言い出すものではない。
「えっと……」
『
「……え?」
声がどこからが聞こえた後、アセナの叫び声が響く。
新たな奴隷紋の出現。胸のあたりの紋章が浮かび上がり、光る。
「アぁ、アァぁァ! ァァ、ッガァァア、あァぁ!!!!」
地下中に響く悲鳴が反響し、さらに大きな音に聞こえる。
「アセナ! 大丈夫か!?」
まだ返事してないだろ? 承認はどこ行ったんだよ? めっちゃ苦しんでるじゃん。
「──これは、奴隷紋同士が反発しあっている状態ですね~まさか本当に強欲の使徒だったとは、驚きですね~」
「アァぁァァあァ! アアァ、アぁ、ぁ……」
耳に響く悲鳴が止み、静かになる。
「アセナ!」
「とんだご無礼を強欲の使徒様。契約通りそれは無償でお返しいたします。今回だけの特別とさせていただきますがな。」
さて、アセナは取り戻した。こいつも俺に何かをするつもりはなさそうだ。あとは、
「この国から出るだけだ。アセナは動けるか?」
「ちょっと力が出ないのです〜」
魔女を倒した計らいと、クエイとその他人たちの弁明で国外追放で済んだけど、不法入国がばれたら、これだけで死刑になっちゃいそうだな。
何とか見つからずに出たいけど、出口は正門しか知らないから、どうせそこで待ち伏せでもされてるんだろうな。
「戦いは避けられないか……」
「戦いですか!? なんかちょっとやる気出たです!」
「アセナは安静にね。」
アセナは嫌なのか、頬を膨らませ、不満を表現する。
──可愛いな。
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