強欲の配下

第7話 居候

「強欲の使徒様!  きょ、今日はどうなさったんですか!?」


 これが獣人か……近くで見るとしっぽがフサフサしてて可愛いな。


「……何か御無礼をしましたですか?」


 そうえば人間の言葉使ってるんだな。敬語とか慣れてないのか?カタコトだけど。


「いや、失礼とかじゃないんだけど、獣人をしっかり見るのは初めてでね、少し見てただけだから気にしないで。」


「え、えっと……もっと見たいなら、服でも脱ぎますですか?」


「えッ!  いや違くて、大丈夫……」


 獣人ってみんなこんな感じなのか? 確かに獣は服とか着ないし、こういうのも大丈夫なのか!?


「それで今日はどうしたですか?まさか……私を始末しに来たですか?」


 尻尾が逆立ち、鋭い目つきでこちらを見据える。少し前傾になった体は一瞬にして距離を詰めれるだろう。うっすらと聞こえる警戒の呻き声。


 ──何故そうなる!?  めちゃくちゃ警戒されている。もしや……強欲の力を警戒してるのか? 溢れ出す何かがあるのか!?


「ただ国を追い出されたからフラフラしてただけ。」


「──じゃあ、強欲の使徒様は私を連れて国を滅ぼそうってことだ!!」


 ……何故そうなる!? しかもめっちゃニコニコしている!  これが黒狼族か……

 黒狼は少し怖いなと苦笑いを浮かべる。


 いくら強欲の力があるからって国は……何でこいつ俺が強欲の使徒って知ってんの?

「俺が強欲の使徒だってどうやって知ったんだ?」


 もしかして、国際指名手配犯になってるのか!?


「それはアセナも強欲の魔女の配下ですから!  なんか分かったです!」


 って事は、こいつは魔女にあったことあるのか!


「……強欲の魔女ってどんな奴だったっけ?」


「忘れたですか?  アセナもあんまり思い出したくないです!  強欲の魔女様はアセナの村を襲ってきたです!」


 ──もうなんか嫌われる理由分かった。


「──それで、従属の呪いをかけてきたです。けど、そのあとからずっとほっとかれてるです!」


 興味が無くなったらどうでもいいってことか。こりゃ仲間にも嫌われてることだろうな。


「見た目とか覚えてる?」


「覚えてないです!」


 人柄は分かったからとりあえず良いか……それにしてもめんどくさい人の使徒になっちゃたな。


「それで使徒様は国を滅ぼさないなら何しに来たですか?」


 王国を追放され行く当てもなければ、頼れる人ももういない。ならば道は一つ! これにかけるしかない、


「僕をここに居候させてください!!」


 強欲の魔女に会いに行くのが目標だが、どこにいるかも分からない。ならばまったりスローライフでもしながら気長に探すしかない。


 急に居候させてくれと頼むからだ。アセナもキョトーンとしている。


「良いです!!」



 軽く許可をもらった。

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