第5話 条件
『条件を満たしました。強欲のスキルが発動。
起死回生……これならやれる気がする。
「……おっ、おい大丈夫なのか?」
「まだ生きてたのか、頑丈だな。全体的に能力値が高いのか。だからと言ってももう死にかけだッ──」
真っすぐ最高速度で突撃。一点集中の一撃。油断し反応が送れる。一瞬にして片目を刺す。
「ックソガァァァァ!!」
……とっても冴えてる気がする。相手の攻撃が見える。この傷も浅くはないはずなのに、調子がいい。
大ぶりの拳をかわし、左下から右上へと一気に切り裂く。
「っ! 調子に乗るなよ!! 魔女に勝てるわけがないだろうガァァ!!」
一撃、一撃が着実にダメージを重ねていく。
魔女も負けじと地面を思いっきり叩きつけ破片が飛び散り土埃が舞う。視界を遮断し体制を立て直そうとする。
大振りの一撃だった。そう簡単には動けないはず、
ナイフを一本、魔女がいた所に投げる
「どこに!?」
反応した。魔女は位置を移動していない、立ち位置からして狙うはこっち側から……
死角からの一撃。首を切り裂き、確実な致命傷。
私は魔女だぞ!? それがこんなやつに! せっかく気に入られて手にした力なのに……もう──
ぼやける視界の中魔女が倒れていくのを見届ける。
「マコトー! やったぞ! 魔女に勝ったんだぞお前! すごいな!」
油断しまっくてるとは言え、この世界で一番強い種族をこんな序盤で倒すなんてな。
俺の異世界ライフも、もうぶっ壊れちまったか。きっとこのまま強くなって、
「異世界ハーレムライフを堪能するんだろうな……」
「……マコト。助かった。ありがとな。お前のハーレムライフに参加する気は無いけどアタシは最大限お前に協力するぞ!」
「無事でよかったよ。」
「ごめんな。私のせいでそんなにボロボロになっちまって。すぐに直してくれるよう頼むからな」
そう言えば全然痛くないな。さっきの効果か? いや、血が止まってないな。
「大丈夫か!? ふらついてるぞ!? 血もめっちゃ出てるし、どうすれば……街の連中がなんて言うか分かんないけど、助かるよな?」
「──それでは、ご一緒にご同行願いますか?」
後ろから声を掛けられる。見知らぬ人だが、身に着けているものからして……
「誰だよ。今忙しんだ、早くこいつの血止めないといけねーんだよ」
「申し遅れた、王国騎士団のものです。魔女の件でお聞きしたいことがあるのでついて来て頂きたい。もちろん傷の手当などもする。」
「そうか? ならついて行こう。安心しろマコト。助かるからな、ゆっくり休んでくれ」
この言葉を聞きすっかり安心してしまったのか、ここから先は記憶はない。
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