学園・犬の夢・星の消失

腕(kai_な)

 

ある激しい学園の、激しさの薄らぐ隅にある、平凡に黙って植わっている、まどろみのない午前のような、ヒイラギ。

連続した葉脈の反射は、どこまでも続いて、大河となって、私はそれを空から見ている。

世界は色を失っているのだから、その河川は血管と何ら変わらない。

血管は脳の奥で沈黙を守りながら絶えず流動する。

管内を涼やかに流れる情報。

その流れの野性的な速度は、まるで犬の見る夢。

(私達はきっと犬の悪夢を理解し得ないだろう)

夜じゅうを溶解した液体の、その上澄みに流れる。

しかし情報はただそこに浮かんでいるだけではなく、時々発光する。

犬は液体上を走らずともメラトニンをよなよな喰いちぎる。

犬よ、正しく記号的なあなたは横並びの願いごとでさえもその記号性の糧としてくれるのだろうか。

その叶わなさ。

かの激しい学園でさえも、その叶わなさを黙殺していたのだろうか。

たとえそうだとしても、そうであるからこそ、学園にも夜は訪れる。

夜空の星は置き去りに。

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学園・犬の夢・星の消失 腕(kai_な) @kimenjou0420

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