1-6
部活が終わると、多くの部員が僕とは反対方向に歩く。校門へと行くのだ。
寮に向かうのは、五人。犬伏さん、西木さん、銀原さん、僕、そして鈴木。銀原さんを除いては県外出身である。
「いやあ、楽しみだなあ、練習試合。カルアちゃんもそう思うだろ」
犬伏さんのことを下の名前で呼ぶ同級生は多かったが、「カルアちゃん」は西木先輩だけである。
「いやあ、今は中谷君の心配ばかりだよ」
「あらあら。岸谷ちゃんの心配もしてあげたら?」
「岸谷君はまあ、伸び伸びやればいいよ」
横にいた銀原さんが、ちらりと僕の顔を見た。すぐに、前を向く。
「ま、岸谷ちゃんは心配なさそうだよね。堂々としてる」
「え、そうですか? 俺、そういう風に見えます?」
「見える見える。俺なんてガチガチだったよ。あ、カルアちゃんはどうだったかな?」
「全く覚えてないや」
中学生の時から、犬伏さんはあっけらかんとしている。正直キャプテンタイプではない気もするけど、そこは高校で変わったのだろうか。
試合が近づいている。実は、それだけですごく緊張している。
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