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 部活が終わると、多くの部員が僕とは反対方向に歩く。校門へと行くのだ。

 寮に向かうのは、五人。犬伏さん、西木さん、銀原さん、僕、そして鈴木。銀原さんを除いては県外出身である。

「いやあ、楽しみだなあ、練習試合。カルアちゃんもそう思うだろ」

 犬伏さんのことを下の名前で呼ぶ同級生は多かったが、「カルアちゃん」は西木先輩だけである。

「いやあ、今は中谷君の心配ばかりだよ」

「あらあら。岸谷ちゃんの心配もしてあげたら?」

「岸谷君はまあ、伸び伸びやればいいよ」

 横にいた銀原さんが、ちらりと僕の顔を見た。すぐに、前を向く。

「ま、岸谷ちゃんは心配なさそうだよね。堂々としてる」

「え、そうですか? 俺、そういう風に見えます?」

「見える見える。俺なんてガチガチだったよ。あ、カルアちゃんはどうだったかな?」

「全く覚えてないや」

 中学生の時から、犬伏さんはあっけらかんとしている。正直キャプテンタイプではない気もするけど、そこは高校で変わったのだろうか。

 試合が近づいている。実は、それだけですごく緊張している。

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