第11話 丁寧に丁寧に

文章を書くのが怖い。

言葉を口にするのが恥ずかしい。


そんなことを思ったのはいつだったろう?



「私の頭の中を覗かないでね。」

と、言われたことがある。


???


覗くつもりも、覗いたつもりも

なく


ただ、その人には

分かってしまう怖さ が

あったのだと


今になって

わからなかったその意味が

わかるような気になってきた。



小説を書いても

読まれたくない。


エッセイならなおのこと。




言葉には、ひとつひとつ

意味があって

その意味は、その解釈は

一人一人違ってて


そして、その意図もまた

一人一人異なる。


文章から透けて見える

その人の思いが

その人の感覚が

その人の動機が、人柄が



自分の中の想像を掻き立てる。



自分の中の解釈で

その人を決めて

その生い立ちを決めて

その思いを、その経験を

勝手に自分に当てはまる。



言葉が独り歩きを始める。



小説家ってすごいよな。

あの人、いつも

こんなこと、考えてるんだ。

という視線を超えてるのだから。



怖いから

怖くてたまらないから


自分の気持ちに忠実に

丁寧に丁寧に自分に向き合って

これだけは、ほんと

という言葉だけで、文章を紡ぎたい。


私が発した文章を

私自身が誤解しないように。




あの、くそババア💢

の裏側に

ほんとは仲良くしたかったのに。


がある。



ごめんね〜

の裏側に

私にはもう関係ないことだから


がある。



大丈夫。

の裏側に

気付いてよ。


がある。



言葉を発するほどに

自分に気付くミラクル。


苛立ちの中に

不安の中に

悲しみの中に


優しさを見つけたとき



優しい言葉の中に

思いやる中に

慈しみの中に


他者との壁を見つけたとき



自分がもっと深くなる。




丁寧に丁寧に。


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徒然こころん日記 なな @nana7hosi

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