第20話 とある研究施設に残された、とあるカルテの記録

 今や、その機能の全てを失った、とあるすたれた研究施設に。

 とある研究を記した、がある。


 今や、読むことも困難になってしまった、それには。

 このような記載があった。



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 魔導・有機生命体。


『Type:Lost』は、海を目指すだろう。



 文明を滅ぼした愚かな科学者たちの負債は、本来、数百年に渡って世界を汚し続けるだろう、が。


 崩壊と同時に世界に満ちた微粒子〝魔素〟は、『Type:Lost』に超常的な能力の発揮を実現させるはずだ。


 即ち、〝魔法〟の如く。



『Type:Lost』が発生させる力場りきばは、対象の方向性を強制的に変える。それが物質であれ、事象であれ、性質であれ、主に〝反転〟〝反射〟させて。

 太陽光さえ、『Type:Lost』の肌を焼くことすら無いはずだ。



 そうして、海へ、辿り着いたならば。

『Type:Lost』は、その機能の全てを解放し、朽ち果てた海すら浄化するだろう。


 それで、役割は


 海を、浄化し終えた、その時に。



『Type:Lost』は―――――存在を、消失ロストする。



 それが、


 それで、だ。




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