春が来た13
サラとエヴァの子供が無事に生まれて、ノヴァとエスが何やら盛り上がっている。
「ねぇ、見て!」
(おやおや、これは……)
ノヴァが見せてくれた写真には、キレイな金髪の巻き毛に濃いスミレ色の瞳をした、男の赤ちゃんが写っていた。
「すごく可愛いよね」
『ねー』という口の形で、エスがうなずいている。
(これはまわりが放っておかないだろうなぁ)
「名前は、ユージーンだって」
ふとラディは不安を感じた。
「もしかしてふたりとも、ウチにもすごく可愛い子が生まれるんじゃないかとか、考えてないよね? 期待されても困るんだけど」
「ルー、何言ってるの? ウチの子がいちばんに決まってるでしょ」
ノヴァが当然という顔で言って、エスもぶんぶん頭をふって同意していて、
(最近、エスはノヴァとそっくりになってきたなぁ……あ!)
もし産まれてくる子が女の子だったら、家の中では3対1になるわけで、あまり想像したくはないが女子3人に勝てない自分の姿が浮かんだ。
そして……。
生まれてきたのは、女の子。蜂蜜色の髪とラディと同じ鳶色の瞳をした小さな妹を抱いて、エステルは約束通りに笑顔でその名前を呼んだ。
「はじめまして、ミリアム。よろしくね」と。
ラディとノヴァが幾つかあげた候補の中からエステルが選んだのは、「ミリアム」という名前だった。
その意味は……「神様の贈りもの」
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