第29話 悪魔との再会
目の前にいる女。
リリスだ。
一段高い位置から俺を見下ろし、底意地の悪い笑みを浮かべている。
おれはどうしてここにいる。
もしかして、腹上死してしまったのか?
「なぁ、リリスよ。おれは死んでしまったのか?」
リリスはただ笑うだけで答えない。
3度目のループの目標を達成したので、
俺はまたここに呼び戻されたのだろうか。
「リリスよ! 目的を達成したからといって、俺から命を取り上げるのか?」
すると、リリスは答える。
前に会った時とは違い、いかにも悪魔らしい口調で。
「そんなことはしないよ。私は悪魔だからね。契約にないことはしない。キミはまだ死んではいない。ここに呼び出したのはね。キミにアドバイスをするためさ」
「アドバイス?」
って、こいつキャラ変しすぎだろう。
見た目も前より若返っている気がする。
リリスは得意気に続ける。
「そうさ。キミはこれなら、生か死かの選択をせまられる。その時、楽な道を選ぶんだ。いいね?」
生か死?
意味が分からないな。
……。
…………。
……夢か。
頭が痛い。昨日、飲みすぎたか。
「なぁ。メイ。昨日変な夢をみたんだが……」
メイがいない。
部屋中を探すが、メイはいなかった。
仕事に戻ったのかな?
と思ってメイド長に聞くと、突然「故郷に戻るのでしばらく休みをください」と言い出し、出て行ってしまったらしい。
『どうして?』
本当にそれ以外の言葉が出なかった。
昨日はあんなに楽しい時間を過ごしたのになんで?
人間不信になりそうだ。
なにか手がかりがないかと寝室を探す。
すると、枕元に一通の手紙と、小箱がおいてあった。
手紙を読む。
「突然居なくなってごめんなさい。どうしても継承の儀が必要になったので、しばらくお休みをいただきます。用事が終わったら戻るので、心配しないでください。それと、小箱は今朝、ルーク様あてで届いていた荷物です」
心配するに決まっているだろう。
何を考えてるんだ、あいつは。
仮にうまく侵入できたとしても、大聖堂でそんな勝手なことをして無事に帰れる訳がない。
しかも、メイは法王に目の敵にされているのだ。
正体がバレたら、殺されてしまうであろう。
俺は、すぐに馬を出してメイを追いかける。
しかし、メイを見つかることはできなかった。
今でこそ、メルドルフは観光誘致などと言っているのだが、もともとメルドルフとリューベックは、関係が良好という訳ではない。
レイアという同じ女神を信仰しているがために摩擦も多いのだ。
そのため、兵をあげるような国際問題になるようなやり方はできない。
メイが目指す場所は分かっている。
メルドルフの大聖堂だ。
俺様1人で行くか?
俺なんかが1人でいって何ができる?
犬死するだけなのではないか。
冒険者ギルドだ。
ギルドで護衛を雇おう。
おれは冒険者ギルドに駆けるのだった。
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