そうか
僕にとっては、些細なことだった。
なぜなら、「泣く」という行為は人間に備わった機能であり状況からして僕が加害者になってしまうのは理解できた。ただ、納得はできなかった。
ここで、僕の人生での生き方を決めた言葉がある。
「人生は、小説のようなもの。一部を切り取れば物語、細かくすれば場面。それらをすべて繋げて、人生という。」
この出来事は、ただの場面である。そうして「小学生M君編」とした瞬間、
見え方がずれていることがわかってしまった。
一見被害者のようなM君は転入してからここまで、圧倒的な加害者
この体育の授業での出来事は、1%ぐらいだろう。
しかし、人間の感情は理知的ではない。この1%は彼の全てにも等価され、加害者という出来事を消してしまった。
僕は知った。なんと醜い肉だろうか。目の前の肉塊には、本来備わるべき理性がないのだろうか。出荷してしまったのだろうか。
そんなことを考えていると担任から叱咤された。どうやら、
「...肉塊...出荷されたんかなぁ...」
と一部が漏れてしまっていたらしい。
そうして、僕の有罪率が上がってしまった。完璧に罪人になった僕に許されるのは、目の前の人間以下の肉に頭を下げ、許しという理性的生物にのみ許されるものをもらうだけである。
なんだかんだで、許しをいただいた僕は教室に戻った。
ただ、出る前と戻った後で変化があったのは間違いないだろう。
人の醜さ、理性というものの曖昧さ。
それらすべてを見て、受けて、感じた。
なんと醜いことか。こんな薄汚れた社会が存在するのか、と
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