犯人

@bonchannoichimi

第1話  予兆

「ごめん!上田!また、金貸してくんないかな?」

「....はあ?!またかよ!今日こそは、絶対に貸さないからな!ていうか金の貸し借り校則で禁止だろ!!」

俺の名前は上田海翔(Caito Ueda)。今年の4月に高校2年になった。

そして、今俺に金を求めてくるこいつは、羽内琉生(Lui Panai)。珍しい名前だと思う。とにかくとんでもない問題児だ。遅刻の常習犯、成績も悪く、正直いって面倒くさい。

「んなこと言ったって今までは貸してくれてたくせに!」

「.......っ....」

そればっかりは、、事実。

「山下おはよ~」

「鶴嶋~!」

今きた彼は鶴嶋陸奥(RIo Turushima)。男ではあるが、身長は小さく見た目も可愛らしいのでみんなに可愛がられている。

「また羽内が金貸してっていってきてさ~」

「...羽内、さすがにヤバいて。」

「ガチで引くのやめてよ鶴嶋~」

「ガチで引くのは当然だろ!なー鶴嶋!」

「てか、二人とも時計見てないと思うけど後10分で先生くるよ。」

そうだ、うちの担任は朝クラスにくるのが異常に早いのだ。しかも俺らは今教室の外。

「やっベー、そうだったか。てか上田も鶴嶋も、もちろん宿題はやってきたよな?」

...おい、おいおい待て待て。宿題?なんの話だ?

「もちろん、上田は?」

「え、そんなんあったっけ?」

「えー、昨日先生言ってたじゃん。」

「...昨日?あれ?俺昨日学校来てたっけ?」

「おいおいお前まじか?!普通にいただろ?」

いた、のか?いや何かおかしい。昨日学校にいたはずの時間の記憶が、ない。なぜ?

まぁ、いいか。宿題忘れたのだって許してくれるだろ。自分でいうのもあれだけど、俺優等生だし。


と、そうこうしている内に教室に着いた。

「おっはよーーー!」

ーーーガラガラガラ

「....は?」

「おい、こりゃ一体どういうことだ?」

「え、何これ、、」

明らかにおかしい。だって、このクラスは40人だぞ?なんで3人しかいないんだ。

たしかに俺と羽内が言い合ってるとき、周りは静かだったが、それにしてもおかしいだろ?

「俺が最初に来たときも誰もいなくて、びびったよ」

そう言うのは、先に来ていた3人の内の一人齋藤石雄(Ishio Saito)だ。このクラスでいう、陽キャの立ち位置。結構いいやつ。

「今一番腹立たしいのは女子がいないことだ。」

こいつは、宇野結城(Uno yuki)。大の女子好き。

「お前ら、一旦落ち着け。まずは、何が起きてるか整理するところからだろ?」

担任の田園江籠(Ego Denen)。これが、噂の朝くるのがチョー早い先生。まさか、既に来ていたとは、、

「上田、何か知らないか?」

「え、なんで俺に聞くんですか?」

「それは...あー、あれだ。ほら、お前はクラスのいろんな奴と仲良くしてるだろ?だから、何か知ってないかと思って。」

「いや~、分かりませんね。」

今の先生の反応、何か隠してるように感じたが、気のせいかな。

ーーーピンポンパンポーン

「……まもなく、放送、を、はじ、めます。放送での、説明、と、ともに、黒板、の、スクリーンに映像、を映し出、します。」

「んお?スクリーンを用意しろって?センセ~お願いしま~す!」

「おお、わかったわかった。」





「それでは、説明を始める。まずは、前のスクリーンを見ていただこう。」

スクリーンの準備が終わるとすぐに放送が流れてきた。

そして、映像には、全身黒の男と、男に拳銃で脅されている校長先生が。

「こ、校長ーーー!」

映像の中の男は言った。

「今、この学校にいる人は全員ある人物に対して、ある罪を犯している。その罪は人によって、軽いものもあれば、重いものもある。その罪を全員が自覚し、全員が罪を償わない限り、この地獄は終わらない。いまから、一人ずつ名前を呼ぶ。呼ばれた者は罪を自覚したら校長室に来い。私の正体も解き明かしてもらおう。全員が、罪を償わず、私の正体が判明しなかった場合、校長は、このピストルで撃たれる。もちろんお前たちもだ。

まず、最初は、鶴嶋陸奥。

それでは、武運を祈る。」

そして、放送は終わったのであった。

「え?」

「どういうこと?」

「とにかく最初に校長室に行かなきゃいけないのは、、鶴嶋?」

「.......?!」

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