キングギドラ

船越麻央

キングギドラ誕生

 昔々、ドラゴン族の国に三つ子の兄弟がいた。この三匹、性格も行動も凶暴凶悪。血も涙もない悪行を繰り返していた。

 何しろ三つ子なのである。三匹とも見た目が一緒で常に行動を共にしていたのだが。ただとにかく素行不良、不適切行為、反社会的行為の常習犯であったようだ。


 この三つ子、最後にはドラゴン族の王の怒りを買い、魔王の支配する暗黒魔界へと追放処分となってしまった。しかしそんなことで改心するような三匹ではない。なんと力をあわせて魔界征服に乗り出したのである。


 魔界も持て余すに至り、さすがの魔王もあきれ返って三つ子を処分することにした。


「あの三つ子とやらどうにもならん。やむをえん、姿を変えてもらう」


 魔王はドラゴン族の三つ子を呼び出して告げた。


「余を恨むでないぞ」


 魔王はパチンと指を鳴らした。


 すると、三匹のドラゴンはみるみるうちに合体していき、一匹の巨大な怪物へと姿を変えたではないか。


 それは三つの頭部と長い首、二本の尾、そして全身を覆う金色の鱗。さらに巨大な金色の翼。黄金の邪悪龍の誕生である。後にキングギドラと呼ばれ宇宙最強の悪役怪獣として恐れられることになる。


 魔王はその姿を見つめて、しばらく考えていた。


「気の毒だが、もうこの地球には置けぬ。金星でおとなしくしておれ」


 こうしてキングギドラは金星に封印された。しかし長い年月を経てなぜかその封印が解かれてしまった。自由の身となったキングギドラはその圧倒的な力で金星を滅ぼし、死の星にしてしまったのである。


 キングギドラはかつて自分を追放処分にした地球を忘れていなかった。ひそかに復讐の機会をうかがっていたのである。


 後にゴ〇ラやモ〇ラ、ラ〇ンといった地球の怪獣たちと死闘を展開することになるのは運命といえるかも知れない。


 魔王も罪作りことをしてくれたものである。


 


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キングギドラ 船越麻央 @funakoshimao

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