第27話金髪の妖婦

「しっ、新入生、クヨウ・ハチスカ! 参りましたッ!!」




 物凄く巨大な観音開きの扉の前で言うと、扉が重苦しい音を立てて開いた。


 中から現れた、如何にも敏腕でござい、というような顔立ちの鋭い女性が、小生を見て少しだけ眼光を和らげた。




「久しぶりね、クヨウ君。随分背が伸びたんじゃない?」

「ひっ、久しぶりでありますリタ殿! 相変わらずお美しゅうございますな! それと現在小生の身長はお陰様を持ちまして約五尺六寸まで伸びており――!」

「つまらないお世辞と意味不明な報告は結構よ。早く中に入って」




 ひぃ、と小生は情けない悲鳴を漏らした。


 あれから何年経っても相変わらずこの人は怖い、怖いのである。


 もう態度も怖いなら言葉の鋭さも怖い。


 とにかく取り付く島もない態度の人で、比較的友好的な人が多いらしい欧州の人間の中でもとりわけ気難しい人なのだ。


 これが【剣聖】の秘書官でなかったら、小生も流石においそれと口が利けないほどの人なのである。




 そして、癖の強さでは中にいる人間はもっと――。


 小生が生唾を飲み込みながら部屋に入ると、巨大な机を前にふんぞり返っている学園長、そして【剣聖】である妖婦――マティルダが妖しく笑った。




「久しぶりだな、九曜クヨウ。随分背が伸びたんじゃないか?」

「おっ、お久しぶりであります学園長閣下! お陰様を持ちまして小生の背丈は現在約五尺六寸にまで達しており――!!」




 ぺしっ、と、リタ殿に平手で頭を叩かれ、小生は口を閉じた。


 そんな小生を見たマティルダはふふふと笑い、リタ殿に一目をくれ、別室に下がらせる。




「さぁ――人払いは済んだぞ」




 瞬間、マティルダの全身から凄まじい殺気が発し、小生はぶわあっと冷や汗をかいた。


 マティルダは椅子から立ち上がると、ゆらり、ゆらりとこちらに歩み寄ってくる。




「クヨウ、どれだけ私がこの瞬間を心待ちにしていたと思う? わかるよなぁ、何せ三年ぶりの再会だ。お前にはしてやりたいことや言ってやりたいことが山積みになっているからな――?」




 来る。小生が目を瞑って身構えた、その途端――。


 【剣聖】第二席、【裂空】のマティルダが、マティルダともあろう人間が。




 ぴょーん! とばかりに床を蹴って小生に抱きついてきた。




「うおおおおおおおクヨウ、ひっさしぶりじゃないか! いい子にしてたか!? 英語は勉強したのか!? 剣の稽古はしたか!? うりうりうりうり!!」






「面白かった」

「続きが気になる」

「いや面白いと思うよコレ」


そう思っていただけましたら、

何卒下の方の『★』でご供養ください。


よろしくお願いいたします。



【VS】

もしよければこちらの連載作品もよろしく。ラブコメです。


『魔族に優しいギャル聖女 ~聖女として異世界召喚された白ギャルJK、ちょっと魔王である俺にも優しすぎると思うんです~』

https://kakuyomu.jp/works/16818093073583844433

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