「悪霊」ドストエフスキー(光文社)

「悪霊」ドストエフスキー(光文社)亀山郁夫 訳


 1,2,3巻まであるのですが、1巻は構築された世界観を読者に染みこませる役割を果たしていて、2,3巻と進むごとに展開が早くなり、読み終わるころには

「もっと詳しく!!!」

 と叫びたくなるような、まるでこの本の続きならいくらでも読めるというような気持ちにさせられてしまいました。


 1巻がなかなか難しくて、登場人物をしっかり覚えられず、しっかり把握してから読みたい派の私は二回、目を通しています。

 本当に圧巻だったのは3巻で、度肝を抜かれるというか、読んでいて「えっ」とか「うそやん」とか言ってしまった自分に驚きでした。

 普段なら、このような独り言の類は全く出ない私なのです。


 いつもながら、人物の心理描写において目のつけどころが全く新奇といってもいいほどで、ええーん、なんでおじちゃんもう死んじゃったの? ですね。会いたかった。

 「悪霊」が書かれた1873年って、何年前ですかね? 案外、昨日のことなんじゃないかと思えるくらい、現代でも丸々当てはまりそうな人物像が描かれ、テーマが扱われています。

 飲み込みやすいのに社会の問題点が組み込まれていて、読んだあとには新しい視点が備わっている、そんな物語でした。

 発表当時はどんな風に評価されていたのかが気になりました。

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