第15話「ドッジボール大会」
映太ら3人組がエリナの家に行った日の翌日、この日学校であるイベントが行われた。
映太にとっては先週から待ち遠しいと感じていたそのイベントは……
「ただ今よりドッジボール大会を始めます!スポーツマンシップに則り正々堂々と試合に挑みましょう!怪我をしないよう気をつけてください!」
体育の教師が全校生徒の前に立ち彼らに向けてそのイベント……球技大会の説明を手短に行う。
今日行われるのは、1年、2年、3年合同のドッジボール大会だ。
内容は、3学年混合のチームが組み分けられそのチーム同士でドッジボールの試合を行うというものである。
「それでは、先程のホームルームで配られた自分が入るチームが書かれたカードを元にチームを組んでください!」
そして教師の指示によってチームの振り分けが行われる事になる。
(できればエルザかエルシャナ、それか映太さん達の誰かと組めれば安心なんですけど……)
(エリナとエルシャナが一人ぼっちにならないか心配デース。)
(……ってあの子達は考えてそうだけど、私は1人でも大丈夫!)
(仲間にしたい人候補はエリナちゃん達とあと3年の……。)
(さ、3年のあの人と2年のあの人と組めれば良いんだけど、正直言ってあの2人は……。)
(映太は良いとして、清司は運動音痴だから怪我しないか心配だな……。)
それぞれの思惑が交錯する中、彼らが入ったチームは……。
「おっ、エリナちゃん!」
「映太さん……映太さんもAチームなんて……良かったです。」
「友達がいると安心するよな〜。分かるわ〜。」
「と、友達……。」
「え……違うの?」
「違いません!私達は友達です!」
「マジ?ありがとー!」
映太、エリナはAチームに所属、そしてそのチームには「3年の彼」が……。
「皆ァ!!気張っていくぞォ!!」
「おー!!」
「オー!」
「(このノリ、苦手だ……。)」
「清司君も!!オー!!」
「お、お〜」
清司はエルザと共にBチームになった。
そのチームを率いるのは「2年の彼」で……
「エルシャナさんか……よろしくね。」
「よろしくね、翔子さん。万が一怪我をしたら私が介抱してあげるからね!」
「だ、大丈夫だよ私運動は得意だし……」
「油断大敵よ!大丈夫だと思っている時ほど怪我を__」
(し、心配してくれるのはありがたいけど、まるでウチのママみたいだ……。)
翔子とエルシャナはCチーム。
このチームの中だとエルシャナが最高戦力だろう、というのは翔子からすればチームを見渡せばなんとなく理解できた。
「それでは、ドッジボール大会開始します!」
そうしてドッジボールは幕を開けた。
皆はどんな活躍をするのだろうか……。
◇
まずはAチームとDチームによる試合。
「それっ!それっ!それっ!それっ!」
「てやっ!てやっ!てやっ!てやっ!」
Aチームは……言うなればまさに作業。
エリナの圧倒的なフィジカルとそれをサポートする映太の連携によって、Aチームはワンサイドゲームを展開しDチームに完勝してみせた。
ソニービーン族としてのフィジカルを持ち合わせているエリナはもちろんの事だが、映太はドッジボールが大の得意であり、これぐらい造作もないという訳だ。
「あの子強すぎだろ……。」
「一緒に無双してるやつも強え……。」
「こりゃあの人の出番は無いんじゃ……」
映太とエリナの大活躍を見てそう呟きながら、彼らと共に後方から見物してる「3年の彼」をチラ見する生徒達。
だが彼は真に自分の力を発揮するべき試合は今ではない、と考えており、今は力を温存する事にしているのだ……。
◇
「どぉりゃーッ!!」
「うわぁーッ!!」
BチームとFチームによる試合もまた、一方的な試合となっていた。
Bチームのリーダー的存在である2組の彼……「多島陽彩(たじまひいろ)」による活躍が大きく影響しているからだ。
あらゆるスポーツの才能を生まれながらに持っている彼はサッカー部のエース的存在であり、スポーツ分野において彼は今現在この学校における最強の存在と呼ばれる程である。
「陽彩すげー!」
「お前がいれば敵無しだな!」
「あぁ!皆どんどん俺を頼ってくれよ!」
「化け物すぎるでしょ……。」
「退屈デース。」
試合が一方的に進んでいく様子をただ見ているだけしかできないエルザと清司。
何せ相手が投げたボールは確実に陽彩が防いでくれる上に、陽彩がボールを投げれば必ず誰かしらに当てる事ができるからだ。
◇
一方CチームとEチームの試合はと言うと、Eチームの生徒達は最大の脅威であるエルシャナを倒すべく尽力してたのだが……。
「くらえっ!」
「ぎゃっ!」
「このーっ!」
「うげっ!」
「当たれーっ!」
「ぐえっ!」
「……」
「「「当たらねーし逆にやられる!!」」」
彼らが投げたボールはエルシャナに尽くキャッチされ、逆にそれを投げるエルシャナは狙った相手に確実に当ててしまうのだから、相手にとっては全くどうしようも無いのだ。
「エルシャナさん強すぎでしょ……。」
「うふふ。まだまだ行くわよー!」
エルシャナは普段はおっとりとした性格だが真剣勝負となると手は抜かない性分であり、この試合もまたワンサイドゲームと化してCチームが完勝する。
◇
「ふぅ……。」
「私はあと100試合はいけマスよ!」
「エルザちゃん、元気が有り余ってて良いわね。」
第1試合が終了すると、第2試合の前に休憩時間が設けられ、生徒達は水分補給をするなりトイレに行くなりして休憩をとる。
エリナ達ブラッドレイン三姉妹はこの間トマトジュースを飲んでエネルギー補給をする。
ソニービーン族である彼女らにとってトマトやトマトジュースなどの食べ物、飲み物は力を発揮する為に欠かせない物なのだ。
「次はどのチームと対戦するのか楽しみデスね!エリナかエルシャナが相手でも容赦しまセンよ!」
「うふふ、何事にも全力で挑むのがブラッドレイン家の教えだものね〜。」
「私もその意気です!それはそうと……多島先輩、強すぎませんか……?」
「彼も私達と同じタイプの人なんでしょうカ?」
「彼はただ運動神経が良いだけの人間だと思うけどね。」
「な、なんてヤツだ……これが人間の底ヂカラ……!」
「まるでアニメの悪役ねエルザちゃん。」
エルザとエルシャナは姉妹が相手になっても全力で挑む事を互いに決意し、エリナもそれに同意する。
ドッヂボール大会はまだまだ続く……。
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