第12話「ブラッドレイン宅」

エリナ達から家に来てくれないかとの誘いを受けた映太、清司、翔子。

まさかエリナ達と知り合って日が浅い自分たちが、そんな短期間で家に呼ばれるまでに至るとは思いもしなかった……と考えているのは翔子と清司の2人で、映太はそれほど考え込んではおらず、あくまで友達の家にご飯を食べに行くのだと、すっぱりと割り切っていた。



L〇NEにて


三人衆(3)


えいた

「外国の人にお呼ばれするとか緊張するわ〜」

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Shoko

「お前はさほどしてねーだろ、オシャレとかしていかないと流石にマズイかな?」

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中川清司

「普通の友達なら気を遣わなくても良いと思うけど、流石に相手が外国人となるとね……」

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Shoko

「あーなんかドキドキしてきた(顔文字)」

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えいた

「映画でも見て時間潰そ」

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中川清司

「呑気だなオイ」

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中川清司

(呑気だな、という旨のアニメのスタンプ)

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Shoko

「流石に化粧はしていかないとダメだよな」

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中川清司

「翔子って化粧するんだ(顔文字)」

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Shoko

「いつもしてるわ」

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えいた

「スッピンかと思ってた笑」

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Shoko

「はっ倒すぞ貴様」

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映太宅。

宿題を終えた映太は、DVDレコーダーに○EOで借りたDVDを入れて映画鑑賞を開始した。

彼が借りたのは、彼が昔見てた仮○ラ○ダーの映画のDVDだ。

最近ふと映太が清司に「昔こういう仮○ラ○ダーあったよね?」と話した所、その作品の映画はその界隈ではトップクラスに人気なのだと清司に教えられ、興味を持った映太はそのDVDを○EOでレンタルしてきたのである。


「変身!」


「タカ!トラ!バッタ!」


「おもしれーなこれ。」


映太はその映画を見ながら約束の時間である6時の少し手前までの時間を潰し、時計の針が5時半を示した頃映画は終了し、映太はエリナ達の家に行く為の服装に着替え準備を行う。


「よし!」


映太は複数の服が掛けられているタンスから1着の服を取り出し、それを着ようと決める。

映太の父、映作は父が有名ホテル会社の元社長、母は巨大な農園を管理する農家と、いわゆるいいとこのボンボンなのだ。


そんな両親は妻に逃げられ精神的に大ダメージを受け、今もその尾が引いている状態の映作を憂いて、そしてその一人息子の映太が何不自由ない生活を遅れるようお金や日用品などの仕送りをしているのだ。

その中には上等な服もあり、映太はこれを着てブラッドレイン宅に行く事を決めた。


「親父!どうかなこの服?ばぁばが先週送ってくれた服なんだけど。」


「おぉ、似合ってるじゃないか?えっと確かエリナちゃんの家に行くんだっけ?楽しんでこいよ。」


「おう。」


「お土産(美味しいご飯)も持って帰ってきてくれよ?」


「はっ、このクソ親父め。」


「こちとら夕飯はカップラーメンじゃい!」


映作は映太とそんな冗談を交えながら彼を見送り、映太は清司、翔子と待ち合わせの場所に指定したコンビニの前で合流する。


「おう2人とも。」


「映太良い服持ってるじゃん、おNEWか?」


「そだぜ!どーよ?」


「カッコいいんじゃない。」


「うん、まぁ良いとは思うんだけど……お前L○NEでは楽観的な態度取ってたくせにしっかりオシャレしてくるのな。」


「えへへ〜。」


「褒めてねぇよアホ。」


映太は2人に新しい服を自慢し、2人(約1名)にその服を褒められた映太は機嫌が良い表情を浮かべる。

清司と翔子もそれなりに格好を整えていた。


「ねぇ、昼間のエリナちゃん達の話だけど……。」


「3人がソニービーン族の末裔ってやつ?」


「うん……歴史の教科書に乗ってたり、たまにバラエティ番組でもそういうネタが出てくるから、都市伝説とかじゃなく本当に実在してたのかなってなんとなく思ってたんだけど……お父さんとお母さん、どっちがソニービーン族なんだろうね。」


「うーん……もしもお父さんの方がソニービーン族だとして、めっちゃ怖そうな見た目だったら……」


そう話す翔子と清司に対し、そのエリナの父親を見た事がある映太は2人にこう教える。


「いや、エリナの親父さんは目が青かった。ソニービーン族は目が赤いけど。」


「そうなのか?じゃあお母さんの方が……。」


「どんな人なのか気になるな。」


3人は、エリナ達は母親の方がソニービーン族なのだろうと想像し、各々一体どんな母親なのかと想像をふくらませながらブラッドレイン宅への道を歩き続ける。


(エリナちゃんチンピラ3人を瞬殺してたし、かーちゃんはめっちゃ強いんだろうな……)


(3人のあのフィジカルが母親譲りのものだとしたら、母親はきっとあの3人よりも強いに違いない……凄い厳つい軍人みたいな人かな……怖い人じゃないといいな〜……)


(あの3人の母親って事は、きっと美人なんだろうな……)


「「「あの!」」」


「……清司先に言え。」


「し、翔子が先に……。」


「映太が言えよ。」


3人はふと声をあげるも奇跡的に3人同時にハモってしまい、翔子に先に言えと圧をかけられた映太がこう言う。


「まぁきっと良い人なのには変わりないと思うぜ?あの3人の親だもんな。」


「……確かに。」


「だよな。悪い親ならそれ相応にエリナちゃん達もそういう性格になるだろうし。」


結局3人の中では、ブラッドレイン三姉妹の父親も母親もきっと良い人なんだろうという結論に至り、それから数分歩いた所で、エリナ達にL○NEで教えてもらったブラッドレイン宅にいよいよ到着した。


「俺がピンポン鳴らすぜ?いいな?いいよな?」


「それを率先して押したがる子供は映太しかいないよ。」


「おー押せ押せ。ただし1回な。」


「ピンポンラッシュする程子供じゃねーから。」


映太は清司、翔子もそんな問答をした後チャイムを1回押した。

その数秒後にエリナが玄関のドアを開けて3人を出迎える。


「皆さん、ようこそ我が家へ!」


「「「こんばんは!」」」




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