君を待つ

「起きたらまた遊んであげるからね。泣かないで待ってるんだよ」

 精一杯の強がりを言って君は深い眠りについた。くるくる吐き出した糸にすっかり包まれ繭が完成する直前に中からもう一言、

「おれのこと忘れないでね」

 縋る様な掠れ声。忘れるもんかと子供の僕は怒鳴ったけれど羽化に300年もかかるなんて知らなかった。

「待っているよ」

 僕が死んでも、孫の孫のそのまた孫が。すっかり皺だらけになった手で、そっと君の繭を撫でる。

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