黄昏の町

 手放したい物があるのなら黄昏町がお勧めだ。日が落ちて西の空に燃える緋色の一線が引かれるその時町への道が開かれる。

「怒り、悲しみ、妬みに後悔」

 歌いながら男は道端で何かを拾っている。石ころの様なそれは心の欠片。手放したい想いや願いを皆この町に捨てて行く。

「喜び、思い出」

 放り投げる。次々と上空に投げられ黄昏の空へ飛んで行く。全てが星になって瞬き出すと黄昏町は眠りについて夜が来る。おやすみ世界。また明日。

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