思い出の箱
開けてごらん、そう店主に促され少女はそっと小箱の蓋を持ち上げた。僅かに開いたその隙間から柔らかな歌声が溢れ出す。
「……お姉ちゃん」
これは姉の歌声だ。眠れない夜に姉が繰り返し歌ってくれた、宝物みたいに大切な一曲。
「そいつは思い出のオルゴールだよ。開いた者にとって一番大切な歌や曲を流してくれる」
震える手で値札を確認する。足りない。
「必ず買うから。取っておいて」
縋るように懇願して、少女は店を飛び出した。
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