第47話 スイーツな時間
「はいライムス、これも食べちゃって!」
『ぴきゅきゅっ!』
私はダンジョンを進みながら、ゴミを見つけてはライムスに食べさせていった。
サニーライトさんが買い取ったとはいえ、その前までは誰でも立ち入ることができたから、その人たちが捨てていったんだね。
ライムスは美味しそうにゴミを食べて、ぷるぷると弾んでいたよ。
そうやって配信をしていると、コメント欄に少しずつ変化が。
――――――――――――――――――――
tomo.77
<これは俺も反省しなきゃかもな~。どーせダンジョンだからって思って、ごみを捨てることもあったよ。今後は気を付けなきゃだなぁ
spring
<ダンジョンが消滅したら中に残った人工物がどうなるかって分かってないからね~
らんまる
<ゴミのことなんて考えたことも無かったです
ホーリー・社員・ドラゴン
<ふむ、難しい問題だな。それにしてもライムスくんかわええw
上ちゃん
<ダンジョンに限らず、ゴミの問題って難しいよねぇ
ラズベリー
<ライムスくんパクパクで草
Jun
<同接13000人!!
ミク@1010
<自分はモナちゃんの配信見てからゴミに気を遣うようになったよ
ボブ
<ダンジョンって意外とゴミ捨てられるんだなぁ。全然知らんかった
あ あ
<ライムスくん環境に優しい
Jun
<ゴミ捨てるヤツってどこにでもいるもんな
じろう
<そもそもダンジョンにゴミ捨ててく人がいるのを始めて知った件
ライムス推し
<強い、可愛い、環境に優しい←New
通りすがりのLv.99
<深く考えてる人ってかなり少ないだろうね
1999
<僕も知らんかった。ダンジョンはゴミ捨て場じゃないのにねぇ
――――――――――――――――――――
こうやってコメントが読み上げられていくと、他の人がどんな風に考えているのが分かってくるね。
あまりゴミ問題に興味がない人、そもそもダンジョンにゴミが捨てられてるのを知らない人……。
「まさかダンジョンにゴミが捨てられているだなんて、最初は考えもしなかったけどね。きっとそれが普通だと思うから、私は少しでも関心を持ってもらえるように配信を頑張るよ。それに配信ならライムスの可愛さも布教できるしね。これぞまさに一石二鳥!」
――――――――――――――――――――
上ちゃん
<良いこと言うな思ったら結局親バカに帰結するの草
村人B
<さすがモナさんです!
Jun
<揺らぎねぇ……
Jun
<だがそこに痺れる憧れるぅ!!
tomo.77
<俺は次からはゴミ持ち帰るよ
ボブ
<俺も探索者になったらゴミは持ち帰る
りーお
<一人一人が少しずつ意識を変えていけばきっと変わるはず!
――――――――――――――――――――
「ふふ、みんなありがとう! それじゃそろそろ休憩スペースに行こうかな。実は緊張しすぎてお昼食べれてないんだよねぇ。ちなみに今日のダン飯は今までのとはちょっと違うから、楽しみにしててねっ!」
#
というわけで私とライムスは休憩スペースにやってきたよ。
ここの休憩スペースも他のダンジョンと同じで、大広場にはバーベキュー・コンロが設置されているよ。
私はドローンを降ろして、クーラーボックスの中からダン飯に必要な道具を取り出していく。
「まずはフライパンでしょ。それから油ね」
他にはボウル、フライ返し、菜箸、泡立てを用意してと。
「あとは卵に牛乳、そしてこれ。じゃじゃーん、ホットケーキミックスですっ!!」
今までのダン飯配信ではお肉とお酒っていうのが多かったから、今日はテイストを変えてみることにしたんだ。
こんなに素敵な風景に囲まれながらホットケーキとコーヒーを頂けるなんて、まるで夢みたいだよ。
まぁ、コーヒーはただのインスタントだけどね。
「まず初めに牛乳と卵を混ぜて、ある程度混ざってきたらホットケーキミックスを入れるよ」
私はスマホでレシピを調べながら、手順通りに調理を進めていった。
「ミックスを入れたら大きく混ぜてと。少しダマが残るくらいでちょうどいいみたいだね」
準備が出来たらフライパンを熱して、少し高い位置から生地を落としていく。そうすると綺麗な円形になるんだって。
「わあ、本当にきれいな丸が出来たよ!」
あとは3分くらい焼いて小さい泡が出てきたら、ひっくり返す。
「えいっ! ……ふふ、みんな見てよこれ。きれいなきつね色に焼けてるよ! 美味しそ~~」
『きゅぴー!』
「ライムス、もう少しだけ待っててね? あとちょっとで焼きあがるからね~」
『ぴきゅいっ!!』
ひっくり返してからは約2~3分。
弱火で焼いていくよ。
「よーし、これでホットケーキは焼けたね!」
ホットケーキを丸皿に盛り付けて、バターを乗せて、蜂蜜をかけてっと。
あとは紙コップにコーヒー粉末とグラニュー糖を入れて、魔法瓶から熱湯を注いで……。
「これでヨシ! じゃーん、ホットケーキとコーヒーセットの完成だよっ!! ライムス、こっちにおいで。ライムスの分も切り分けてあげようね~」
『きゅいーっ!!』
「それじゃ、いただきまぁ~す」
『ぴきゅぅ~~』
「はいライムス。あ~ん」
私がフォークを差し出すと、ライムスはパクッとホットケーキを食べて、それからぷるぷる~と弾んだよ。
ライムスは甘いのが大好物だから、絶対に気に入ってくれると思ってたんだ。ちなみにライムスがホットケーキを食べるのは今日が初めてだよ。
「どーお? おいしい?」
『きゅぴぃ~~』
「ふふっ、聞くまでもなかったね。それじゃ私も、はむっ」
うん、ホットケーキを作ったのはこれで2回目だけど、上手に焼けてるね!
生地はふわっふわで、まるでスポンジみたい。
バターと蜂蜜も相性抜群で最高に美味しいよ。
「コーヒーと合わせると尚更だね!」
『きゅきゅぅ~~』
「うわっ、ライムスが平べったくなってる!?」
ライムスは一番リラックスするとこんなふうになっちゃうんだよね。
こんなになっちゃうくらいにホットケーキが美味しかったってことだね?
でも、まだまだここからだよ。
なんたって私は、秘密兵器・アイスクリームを持ってきているのだからねっ!
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