第3話 先輩介護士と新米介護士

 さて、勤続2年目前後の当時青年介護士だった、現おっさん介護士だが。


20年前と言うと、そりゃもう男性介護士なんて少なかった。

俺が入職した当時は、事務職を除けば3人しかいなかった。介護職44人の中で。俺で4人目。あの頃は男性介護士が隔月で集まって飲み会してたなぁ・・・。愚痴言い合いながら・・・。


おっと回想してしまった。


で、そんな男性介護士が少ない状況と言う事は、つまりほとんどが女性介護士と言う事で。そりゃもう発言力から行動力から指導力から凄かった。いや、指導力は無かったか。


女性特有の雰囲気と言うか何というか・・・。まだうら若い男性職員である俺には入り辛い空気があったと言うか・・・。そんな事もあったが、新米は先輩の言う事を聞かないといけない。先輩の背中を見て仕事を覚えてないといけない。


今でこそきちんとした指導体制が整っているが、当時は「仕事は先輩の動きを見て覚えろ」的な流れだった。


あー、今も一部そんな雰囲気はあるけど。


とにもかくにも、当時の俺は必死に覚えていた。分からない事は当然あるし、知らない情報なんかも沢山ある。その都度質問して質問して「あんた一回で覚えなさいよ」なんて言われつつ、何度も何度も質問した。


そんな時に一言。


階段の上から見下ろされながら。


「あんた。質問すれば良いってもんじゃないのよ。質問して働いています的な空気だしても、私らには通じんからよ」


うむ。殴ってやろうか。泣かすぞコラ。奥歯ガタガタ言わすぞコラー。


何てことは思わず「すいませんでした」と一言。


今にして思えば、あれパワハラよなぁ・・・。

そんなことを言われながらも、分からない物は分からないので質問しながら、少しずつ理解しながら、何とか仕事をこなしていた。


いやー、先輩って怖いわぁ・・・。


そんなことが3年~4年目まであったなぁ。


あ、今では立場こそ変わっていないけど冗談を言い合う仲にはなったよ。

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