第27話3-7 ポーションの作り方
3ー7 ポーションの作り方
僕は、2階の部屋でみんなを呼び出した。
「兄さんたち!オルガ!」
「「おう!」」
人化した兄さんたちとオルガが現れた。
「ほう、ここが我々の新しい領土か」
ナツキ兄さんが満足そうに部屋の中を
見回した。オルガは、窓を開いて街を眺めて歓声をあげた。
「すごい!これが、人間の街、か」
僕は、オルガに耳と尻尾を隠すための帽子とスモックを渡した。
なにしろ、ここは、魔族と戦ってる国の首都なんだから気をつけないとな。
オルガは、僕から帽子とかを受けとるとぽっと頬を染めた。
「これ、俺にくれるのか?ありがとうな、ユヅキ」
それから、僕たちは、店と家を掃除した。
夕方までかかったけど、新築同然にきれいになった。
僕は、店と家を戸締まりして、兄さんたちとオルガとストレージの中の村へと戻った。
「つまんない!」
オルガがぷぅっと頬を膨らませた。
「俺、もっとヒトの町を見物したいぞ!」
「また、そのうち、ゆっくり連れてってあげるから」
僕は、言った。
その日の夜は、村をあげての宴になった。
結局オークのみなさんや、ラック爺、ホブゴブたちは、何があっても騒ぎたいだけなんだよね。
でも、今日は、人化したハヅキ兄さんや、ナツキ兄さん、カヅキ兄さんも加わっていた。
兄さんたちは、滅多に村人たちの輪に加わったりしないんだけど。
きっと、兄さんたちも僕が都で店を出すことを喜んでくれてるのに違いない。
僕は、宴の途中でそっと抜け出して薬草の畑を見に行った。
うん。
どの薬草もみんな元気に瑞々しく育っている。
でも。
これだけ薬草があれば、あれが作れるんじゃね?
僕は、少し考えてから頷いた。
よし!
あれを作ってみよう!
僕は、『異世界生活辞典』を開くとポーションの材料になる薬草を集め始めた。
ポーションは、強いものなら大怪我や病気も治せるけど、弱いものなら健康ドリンク的に売れるんじゃね?
僕は、材料を家に持ち帰ると裏庭の竈で薬草を煎じていった。
鍋にたっぷり水をはって薬草を煎じて、それが半分ぐらいになるまで煮詰めていく。
そして、最後に魔力をこめるわけだけど、僕は、ここで言霊の力を使う。
「元気が出て、体調不良も改善される」
ぽぅっと鍋の中の液体が青く輝く。
僕は、それを木製の小瓶をたくさん用意して詰めていった。
うん。
これで、ちょっとした目玉商品も用意できたしな。
後は。
「あっ!」
僕は、はっと気づいて呟いた。
「店の看板がまだだった!」
「何?」
オルガが知らない内に僕の背後に忍び寄ってきていたらしく僕を上から覗き込んできいた。
僕は、驚いて悲鳴をあげた。
「ひぃやぁっ!」
「そんなに驚かなくっても」
オルガは、少しむっとしていた。
「いつの間にかいなくなってると思ったら、こんなところでこそこそなんかしてるし」
「別に、こそこそなんてしてないし」
僕が言うと、オルガが手に持っていた木の皮で編んだ籠にポーションの小瓶を入れながら言った。
「少しぐらい俺にも手伝わせてくれよ、ユヅキ」
「うん」
僕は、オルガの気持ちが嬉しくって頷いた。
「これから、店のこととか、いっぱい手伝ってもらうからよろしく」
「ああ」
オルガが振り向いて微笑んだ。
「任せておけ!」
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