第23話3-3 薬草を育てよう!
3ー3 薬草を育てよう!
僕は、申し訳なさげに頭を下げてくれるお姉さんに教えられた宿へと向かった。
そこは、『山猫亭』という宿屋だった。
「お客様、お一人ですか?」
宿の女の子にきかれて、僕は頷いた。
うん。
嘘なんてついてないし。
僕は、その女の子に案内されて宿屋の2階にある1人部屋へと通された。
なかなかいい感じの部屋だった。
清潔そうだしな。
だけど、狭いな。
僕は、ドアに鍵をかけるとストレージを開いて中へと入った。
「おお、ユヅキか」
ラック爺が村の広場に現れた僕に声をかけてきた。
「どうだった?冒険者ギルドの方は?」
「うん・・」
僕は、溜め息をついた。
「ダメだった。無職だと登録もできないらしい」
「そうか」
ラック爺が残念そうに言った。
「まあ、あまり落ち込むな。そのうち、いいこともあるさ」
「そうだね」
僕は、ラック爺と別れて、家へと帰った。
兄さんたちが声をかけてきたけど、今は、話す気になれなかった。
僕は、無言で部屋へと入ると、ベッドへ横たわった。
ああ。
やっぱり自分の家は、いいなぁ。
僕は、目を閉じてこれからどうするかを考えていた。
僕は、この国の軍が攻めて来たとき、魔の森ごと村をストレージに収納することにした。
僕のストレージは、生き物も入れられるし、時間の流れも外と変わらない。
だけど、僕自身が入れるかどうかはわからなかった。
試したところ、どこか場所を定めさえすれば、僕自身もストレージへと入ることができるとわかった。
だから、宿をとる必要があったわけだ。
僕は、しばらく考えた後、むくりと起き出すと魔の森へと向かった。
この森には、いろいろな植物がはえている。
僕は、その植物の中から、薬草を何種類か採集するとそれを村へと持ち帰った。そして、兄さんたちやラック爺に言った。
「頼みがあるんだけど」
「なんだ?」
ラック爺がきいたので、僕は答えた。
「畑で薬草を育ててほしい」
さっき冒険者ギルドに行ったとき、薬草採集の依頼をこなしているらしい冒険者を見かけた。
薬草採集は、あまり人気のある仕事ではないらしい。
僕は、ストレージの中の村で薬草を栽培して依頼主である薬師や薬草店へと直接売ることを思い付いた。
つまり、薬草の店を開くのだ。
まあ、店は、ストレージの中だけどな。
僕は、薬草を畑の空いている場所に植えると言った。
「増えよ、育てよ」
こうしておけば、薬草は、育つだろう。
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