第24話3-4 しょっぱいよ!
3ー4 しょっぱいよ!
僕は、ストレージから出て宿屋の部屋へと戻った。
誰かが部屋の扉をノックしていた。
ドアを開けると、あの宿屋の女の子だった。
「そろそろ夕食の時間なんですけど」
「もう、そんな時間か」
僕は、女の子に呼びに来てくれたお礼を言った。
「すぐに食堂に行くよ」
この宿屋は、酒場も開いているからこの時間には、食堂は冒険者たちでいっぱいだった。
僕は、空いていた隅の方の席に座った。
さっきの女の子が僕の前にどん、とごった煮風のようなものの入った皿を置いた。
「うちのシチューは、おいしいんですよ」
女の子は、自慢げに言った。
「なにしろ塩が入ってますから」
はい?
僕は、女の子の言葉に、何か、不安を覚えたけど、そのごった煮へと手をつけてみた。
一口食べてみて、僕は、衝撃を受けた。
・・塩辛い?
うん。
しょっぱいよ!
僕は、それをかなり残してしまった。
僕が残していることに気づいて女の子が心配そうにきいてきた。
「どうかしたんですか、お客さん。体調でも悪いの?」
「いや」
僕は、女の子に言った。
「すこし、聞きたいんだけど」
「はい?」
女の子に、僕は、きいた。
「この国には、料理に使う調味料は、塩の他には、どんなものがあるの?」
「はぁ・・」
女の子が、キョトンとした表情を浮かべて僕を見つめた。
「料理に使う調味料って・・塩以外に何かあるんですか?」
僕は、急いで部屋へ戻るとドアに鍵をかけ、ストレージへと入った。
ストレージの中も、夜は、暗くなるようで、辺りは真っ暗になっていた。
僕は、ラック爺のところへ急いだ。
ラック爺は、家で一杯やっているところだった。
「なんだ?ユヅキ」
「胡椒」
僕は、息を切らせて言った。
「この村にある胡椒を全部、集めて欲しいんだ」
「ああ?」
ラック爺は、ぽかんとしていた。
「胡椒、だって?」
それから、僕らは、村の家を回って、胡椒を集めると、それをポルクの皮で作った小袋に入れた。
「こんなもの集めて、どうするつもりだ?ユヅキ」
ラック爺にきかれて、僕は、にっと笑った。
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