第3話 大学二年まで
「小説家になる」という夢がありながらも、十八歳の私はまだ一度も小説を書いたことがありませんでした。物語の設定をねったり、プロットを作ったりすることはありましたが、書き始めるに至らなかったのです。
「大学生になるまでパソコンを持っていなかったから、書き始められなかった。」
と自分に言い訳をしていましたが、スマホでも十分執筆できるのに、それでも執筆をやってこなったのは、ただの怠慢と言えましょう。夢をもっていながらも、これまで夢のためになんの努力もしてこなかったのです。
これからは夢のために努力をしよう。私はとりあえず、大学一年のうちに一つでも作品を完成させることを目標としました。そしてもう一つ、一日必ず千文字は書くということを、日々の目標として掲げました。
私の執筆生活は、「大学三年までに小説家デビューする」「一年間で一つ、作品をつくる」という長期的な目標と、「一日千文字は書く」という毎日の目標をもって始まりました。
ちょうど新型コロナウイルスが流行し、大学を始めとする学校の授業がオンラインとなった時期だったため、パソコンに触れる機会は増えました。オンラインで提出するレポート課題が多かったため、レポートを書いてから小説を執筆するというルーティンが作り上げられていったのです。
大学一年の秋、ある程度規制が緩和されたため、私はアルバイトを始めました。週に二日、七時間のアルバイトで、帰ってくるとヘトヘトで倒れ込むように眠ってしまうようなバイトでしたが、それでも執筆は毎日続けていました。
結論からいうと、私は大学二年間で二つの作品を完成させました。「水槽の脳」と「バイバイセックス」です。これら二つの作品は、文学賞に出しました。
しかし、結果はついてきませんでした。二年間で四つの文学賞に応募しましたが、どこでも結果を残すことができませんでした。
気づけば私は大学三年生になっており、夢を諦める時期になっていました。
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