第5話

するといつも通り視線を集めている桃井先輩がいた。少しきまづいな。だけど俺のせいで桃井先輩が義孝一緒に行けなくなるのは桃井先輩に悪い。義孝は気を遣ってもし一緒に行く人が決まっていたら俺を選ぶはずだからな。こいつはいいやつだから。


「おはようございます桃井先輩」


「おはようございます」


「おはよう近江くんに一条くん」


どうやら桃井先輩は特に俺のことを気にしてないようだ。まぁ振ってる相手が多いから気にならなくなったんだろう。それはそれでありがたいが。 


俺達は電車が来るまで、駅のベンチで談笑をしていた。視線が集まる。うざいほどにな。何人かの大学生ぽい人は下劣な視線を向けてくる。いかにも不良って感じた。ナンパしてくんなよ。


「それで近江くんがおすすめしたアニメ見たよ。すごい面白かったよ」 


「それならよかったですよ。続きをー」



「そこの女の子俺達といいことしない?」


さっきの大学生ぽい人達か。結局ナンパしてくんのかよ。桃井先輩は不機嫌そうに男達を見ている。義孝はまたナンパかという顔をしている。


「僕達はこれから学校なんでどっか行ってくれませんか?」


ナンパされて遅刻をしましたというのもウソぽく聞こえるから早くどっか行ってほしいが。それに成人までして、高1をナンパしてくるとかどんだけモテないんだよ。それとも女子高生にしか興味ないタイプか?警察に通報してやろうか。


「お前には聞いてねーんだよ。早く行くぞ」


そう言って桃井先輩の手をつかんだ。


「きゃっ」


桃井先輩は小さく悲鳴を上げる。するとその手を義孝がつかんだ。正義の味方のような目をしながら。ちなみに俺が反応しなかったのは単純に遅れたのと、義孝が救った方がなれてるから任せた方がいいし。義孝に救われた方が桃井先輩も嬉しいだろうと思ってだ。


すると義孝の握力に男は悲鳴を上げる。まぁ義孝はめちゃくちゃ握力があるからな。野球やったきたとこからバンバンフォークを投げていたくらいだし。中学生であんなにフォーク投げれるピッチャーはほぼいないだろう。


「くっ離してくれ。もうこの子をナンパしないから」 


「次してきたらその手首折りますからね」


義孝は薄ら笑いを浮かべながら言った。すると男は恐怖を抱いたのか、汗をめちゃくちゃかきながら駅を出た。さすが主人公無傷で特に問題を起こすとことなく退散させたな。俺だったら一回殴られた後に警察に通報するという手を取るからな。


桃井先輩は義孝を見ながらボートしている。まぁ意中の相手から救ってもらったらそうなるわな。俺だったらありがとうと言って終わってそうだが。悲しいがそれが現実だ。それは仕方ないと割りきるしかないし、早く次の好きな人を探さないと引きずってしまう。今までもすぐに好きな人を探して、なんとかなったし。


「それじゃ行くかい。桃井先輩どうしました?」


「いやかっこいいなぁーと思っただけだよ。やっぱり近江くんは頼りになるね」


それ存外に俺じゃ頼りならないと言ってない?気のせいか。振られたからネガティブに思ってるだけか。まぁそんなひどいこと桃井先輩は考えないだろう。


「そうでもないですよ。色々周りに助けられることもありますし」


それでも中心になっているのは義孝なんだよな。それに助けてくれるってことはそれだけ人望も信頼もあるってことだしな。義孝は周りを見るのがうまいし。まぁ男から大半からは嫉妬を受けているが。学園のアイドルのようなやつは義孝を好きなケースが多いから逆恨みだがな。


「助けてもらえるのも実力のひとつだよ。それじゃ電車きたし乗ろっか」


俺達は流鉄に乗った。桃井先輩は今までの振ってきた女子とは違い俺を会話にいれてくれたりもした。今までは振った瞬間露骨に俺としゃべらなくなったからな。義孝が話題を振ったらしゃべったが。


それにしても振られた後の声優の声には癒される。今なら声優オタクになりそうだ。もちろん女子に優しくされたら今すぐにでも落ちちゃいそうなくらい癒しを求めている。


そして平和台駅に着くと、俺達は降りた。そさて学校行く途中桃井先輩は義孝にレディーファーストのようなことをされ恋する乙女みたいになっている。いや恋する乙女っていうかもう恋してるか。


俺達は学校に着くと、桃井先輩と分かれ教室に入った。そして美少女達に挨拶されるまでが一定の流れだ。ついでに俺ともするが、挨拶したあとは早くどっか行ってくんないという反応をされるから帳消しだがな。


まぁ義孝は気づいてないからできるんだろうが。俺はこうやって邪魔扱いされるのに慣れてるから、こういった視線には敏感なのだ。だからすぐに気づき自分の席に座り、ラノベを読み始める。今日は雑誌よりラノベの気分だったからラノベにした。


読んでいると、肩をとんとんと叩かれた。誰だ俺の至福の時間を邪魔するやつは。そう思いながら振り向くと影山楓がいた。そうこの学校の中でもアイドル扱いを受けている美少女だ。そして数少ない俺と義孝といなくても話す友達だ。こいつなら邪魔されても別にいいわ。

















 

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